マエケン&坂本。侍同級生のフォームへのこだわりとは…

[ 2015年11月17日 08:00 ]

侍ジャパンでプレーする前田(左)と坂本

 準々決勝を制して、侍ジャパンのメンバーが17日、帰国する。プエルトリコを7回4安打無失点に抑えたのは前田健。投球を見ながら思い出したことがある。あの、独特な前傾姿勢のフォームにまつわる話だ。

 投手をセンターから映すテレビ中継だと分かりやすい。足を上げて本塁方向にステップする時、前田健は上半身をやや三塁側に折り曲げるように打者に向かって行く。記者は広島担当になったことはないが数年前の春季キャンプの際に、たまたま宮崎で前田健と食事をする機会があった。そこで、ずっと疑問に思っていたこの前傾姿勢について質問した。「あれは右バッターのインコースを狙うというか、内角に狙いを定めて向かうイメージなんです」。右肩の開きを最後まで抑えることが出来るし、そこから外角へ直球を投げれば上下だけでなく、左右の微妙な角度がつく。キレと制球で勝負する右腕が考え抜いたフォームの1つのポイントだった。

 攻撃的2番としてプエルトリコ戦で2安打3打点を挙げ同い年の前田健を援護した坂本も、左足を高く上げる独特の打撃フォームが特徴だ。打率・265、12本塁打と振るわなかった13年のシーズン中。左足の上げ幅を抑え、すり足気味のフォームに挑戦するなど迷っていたことがある。同年8月6日、福島・郡山でのDeNA戦の試合前。打撃練習を終えてベンチ裏のパイプイスに座った坂本が、たまたま近くにいた記者にこう聞いてきた。「足、どう思います?」。一瞬、どう答えようか迷った。プロ野球選手はコーチや監督がプロの目で見て指導している。坂本が記者の言葉をどう取るかによっては、問題になりかねない。

 それでも、聞かれたからには答えないといけない。「足を上げて打つのは体が若い時にしかできない打ち方。確かに足の動きを小さくしたら確率は上がる可能性は高いよね」。どっちつかずの答えをわざとした。たかが新聞記者の意見で左右はされないだろうが、迷っているからこそ本人が答えを出さないといけない。坂本は「うん、うん」と2度、小さくうなずいただけ。その後も自身で考えて取り組んだ結果が、あのフォームなのだろう。

 スポーツ選手は刻々と変化していく自身の体とその使い方を日々、調整しながら、より高いパフォーマンスを追い求めている。ちょっとした動きや仕草にその選手の意図や、プレーへの思いが表れる。プエルトリコを封じたマエケンの前傾姿勢を見ながら、プロの技術についていく観察力を鍛え続けなければいけない、と改めて思った。(春川 英樹)

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