梨田監督流サプライズ ファンの前で入団テスト公開合格発表

[ 2015年11月16日 08:50 ]

観客の拍手の大きさで栗原(右)の合格を決めると言い出した梨田監督(左)

 楽天は岡山県倉敷市で行っている秋季キャンプで紅白戦を実施。試合後、梨田昌孝新監督(62)は観衆の前で入団テストを受けていた前広島の栗原健太内野手(33)、前ロッテの川本良平捕手(33)、前中日の山内壮馬投手(30)、前ソフトバンクの金無英(キムムヨン)投手(29)の合格を公開発表した。4選手は12月上旬に入団会見を行う。「なっしー流」のファンサービスで、秋季キャンプ最多4200人の観衆を喜ばせた。

 粋なサプライズ演出だった。紅白戦が終わると、梨田監督は全選手をグラウンドに集め、入団テストを受けている栗原ら4選手を前に並ばせた。自らマイクを握り「金選手、合格です。山内選手、合格です。川本捕手、合格です」と観客の前で次々と合格を発表した。

 そして大トリ、栗原の順番が回ってくると「皆さんの拍手によって決めようかな?」と呼び掛けた。スタンドから拍手と歓声が湧き起こり「合格です!」と答え、栗原と握手を交わした。

 異例の公開合格発表は、指揮官なりのファンサービスだった。日曜日で11年から始まった秋季倉敷キャンプ史上最多の4200人が来場。「これだけお客さんが入ってるんだから裏で合格を伝えるより、生で喜びの声を聞いてほしかった」と持ち前のサービス精神に火が付いた。栗原が在籍した隣県の広島から古巣のファンが大勢駆けつけていたため「栗原は一番最後にしよう」と楽しみは最後まで取っておいた。

 栗原は紅白戦で白組の「3番・DH」で先発出場。5回の第2打席で中前打を放ち、3打数1安打だった。梨田監督は「実戦から遠ざかっていたけど、初球から積極的に手が出ていた。相手バッテリーには嫌な雰囲気がする打者」と絶賛。故障や不振などで2年間、1軍出場はなかったが、通算打率・293、153本塁打の大砲を称えた。

 仙台に本拠を置く楽天にとって「5年越しの恋人」。右の強打者、さらに山形県天童市出身の「ご当地選手」とあり、11年オフ、国内FA権を取得した補強リストの最上位に挙げていた。栗原はFA権を行使せず、広島残留を選んで入団には至らなかったが、ようやく獲得に成功。指揮官は「テストで獲ったというより、FAで獲った感じ」と喜びを隠せなかった。

 もちろんレギュラーは確約されていない。一塁を銀次と争うことになる。「銀次はいい打者だけど負けないよう競争したい。どんどん得点に絡める打撃で期待に応えられるプレーを見せられたら」。故郷の東北でもう一花咲かす。(徳原 麗奈)

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2015年11月16日のニュース