工藤ソフト、王手!「李大浩様々」代役4番が3安打4打点

[ 2015年10月29日 05:30 ]

<ヤ・ソ>工藤監督(右)は李大浩と握手

日本シリーズ第4戦 ソフトバンク6―4ヤクルト

(10月28日 神宮)
 ソフトバンクは28日、ヤクルトに競り勝ち、3勝1敗で日本シリーズ2連覇に王手をかけた。今シリーズ好調の李大浩内野手(33)が初回に先制の左前打、3回には満塁で走者一掃となる左中間二塁打。3安打4打点と4番の働きを見せた。球団初の連続日本一まであと1勝。29日の第5戦に勝てば、就任1年目の工藤公康監督(52)が神宮で宙に舞う。

 疲れ切っていた。日本一連覇に王手をかけた工藤監督はインタビューが始まるのをお立ち台に座り込んで待った。試合中は両手から常に汗が噴き出す、4時間6分にも及んだ息苦しい9イニング。だからこそ、指揮官は次に控えていたヒーローを称えた。

 「首も痛い中、よく打ってくれました。もう、李大浩様々です」

 流れを引き寄せたのはそのぶっとい腕だ。1メートル94、130キロの巨体を誇る背番号10は1点リードの3回無死満塁、館山の143キロ直球を左中間へはじき返した。足の速くない男が、楽々二塁へ到達できるほどの当たり。試合の流れを決定づける、値千金の快打。初回1死一、二塁での三塁強襲適時打と合わせ、4打点と主砲の仕事をした。

 26日夜に寝違えによる首痛を発症した。前日の第3戦(神宮)は守備の際に痛みがあり、自ら途中交代を申し出た。その夜、寝付けなかった。痛みのせいではない。「悔しくて眠れなかった」。左肋骨骨折の内川に代わり、4番を任された。バットは絶好調。だが、首は言うことを聞いてくれない。もどかしさだけが募った。

 この日もはり治療、マッサージとできる限りのことをした。それでも万全には程遠かった。シーズン中ならば欠場もあった状態だが、強行出場を選んだ。「それ(内川不在)が一番の理由。自分が抜けたら打線は弱くなる」。2月の宮崎キャンプでの工藤監督との面談では「打点を挙げることに集中したい」と5番を希望。4番には及び腰だったが、このシリーズ2度目の猛打賞。第2戦(ヤフオクドーム)も決勝2ランなど、立派に「代役」を果たした。このまま行けばMVPの最有力候補だ。

 「あした勝って、早く休みたいよ」。李大浩がそう言えば、工藤監督は「あしたは新たな一日が始まる。勝てば優勝。勝てるようなゲームをしたい」と宣言した。日本一連覇となれば90~92年の西武以来23年ぶりだ。異なる監督での連覇は史上初となる。インタビューを終え、グラウンドを通り、バスへ向かった工藤監督は左翼方向へきびすを返した。声援をくれたソフトバンクファンに深々と一礼。その背中に「あした、決めるぞ!」のエールが降り注いだ。 (福浦 健太郎)

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