金本新監督 一二三にゲキ「6000CCの車が時速40キロ…」

[ 2015年10月26日 05:30 ]

秋季練習で一二三を指導する金本監督

 阪神の金本知憲監督(47)が25日、甲子園球場で行われた秋季練習で5年目の一二三慎太外野手(23)に熱血指導した。恵まれた体格を生かし切れていない大砲候補に「もったいない。もてあましている」と愛のダメ出し。身ぶり手ぶりを交えて“金本イズム”をたたき込んだ。

 2日連続の指導となったこの日も、金本監督は黒の上下のトレーニングウエアで現れた。打撃ケージの後ろから野手陣に積極的に声をかけ、助言を送った。特に熱心だったのは一二三への指導だ。ティー打撃では大きなアクション付きで助言を送り、フリー打撃の合間には地面に線を描いて問題点を指摘した。1メートル87、94キロと恵まれた体と才能を生かし切れていない23歳がもどかしいのだろう。期待するからこそ、独特の表現で若虎にダメ出しした。

 「もったいない。もてあましている。持っているものの20%ぐらいしか出してないんじゃないか。6000CCのエンジンを積んだ車が、まだ時速40キロぐらいしか出していない感じ」

 一二三は2010年ドラフト2位で投手として阪神入り。右肩の故障もあり11年オフに野手に転向したが、伸び悩んでいる。1軍出場は一度もなく、今季はウエスタン・リーグでも59試合出場で打率・203、2本塁打、9打点と結果を残せなかった。指揮官は一番の問題は打撃の始動の遅さにあると見ている。

 「ステップするのが遅い。足が着いた瞬間にバットを振るから、間(ま)がまったくない。それで体が突っ込む。トップを作るのが遅くて、体が前に出ると、変化球に泳ぎ、インサイドにも詰まる。その典型」

 良い打者は始動からトップを作るのが早く、インパクトまでに「1、2の3」と間を作ることができる。だが、一二三の場合は始動が遅く、名前と同じく「1、2、3」で余裕がない。これではパワーをフルに生かすことができない。

 金本監督はプロ入り時には体重80キロにも満たない細身だった。厳しい練習で体を作り、スイングを磨き上げ、軸回転で打球を飛ばす打撃スタイルを手に入れた。体格に勝る一二三が金本打法を習得できれば、大化けする可能性がある。

 一二三も「言われた通りにしたら、自分の感覚とは違いましたね。トップに関して指導を受けたのは、初めてです」と手応えをつかんだ様子。念願の生え抜きアーチスト育成へ、指揮官の改革は着々と進んでいる。

 ◆一二三 慎太(ひふみ・しんた)1992年(平4)9月29日生まれ、大阪府出身の23歳。東海大相模では2年秋からエースで3年夏の甲子園準V。10年のドラフト2位で阪神入団。投手での活躍が期待されたが、11年春に右肩を痛め、登板のないまま同年オフに外野手に転向した。その後も1軍出場は13年7月の左足剥離骨折でチャンスを逃すなど未経験。今季は2軍で59試合、27安打2本塁打9打点の打率.203だった。1メートル87、94キロ。右投げ右打ち。

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2015年10月26日のニュース