ヤクルト3連勝突破!真中監督「あとが怖い」6人継投で流れ渡さず

[ 2015年10月18日 05:30 ]

<ヤ・巨>胴上げされるヤクルト・真中監督

セ・リーグCSファイナルS第4戦 ヤクルト3-2巨人

(10月17日 神宮)
 ヤクルトが17日、14年ぶり7度目の日本シリーズ進出を決めた。第4戦で巨人を3―2で下し、対戦成績を3勝1敗とし、アドバンテージの1勝を加えて、CSを突破した。2年連続最下位からリーグ優勝を勝ち取った勢いは止まらず、就任1年目の真中満監督(44)は短期決戦でもどっしり構え、普段通りのタクトがさえた。24日からヤフオクドームで始まる日本シリーズでは、2年連続日本一を狙う王者ソフトバンクに挑む。

 涙はない。笑顔の真中監督がマウンド付近にできた歓喜の輪に歩み寄る。リーグ優勝時はコーチ陣に抱きつかれて壊れた眼鏡を、今回は丁寧に自分で外した。本拠地で再び7度、宙を舞った。

 「あいつらメンタル強いね。きょうは全然、うるっと来てませんよ」。信頼した選手たちが、苦しい1点差の戦いを制した。「4勝1敗でしたが、一試合一試合苦しい中、戦って粘って勝ちましたので、本当に大変なCSでした」と安どした。

 今季を象徴する、堅守と粘りでもぎ取った勝利だ。先発に抜てきした2年目右腕の杉浦が5回2失点で大役を終えると、6回からはロマン。1死三塁で代打アンダーソンが告げられると、迷わず久古にスイッチした。7回には秋吉が1死一、二塁のピンチを招いたところでオンドルセクをつぎ込んだ。「ひっくり返されたら、と思ったけどね。ここでズルズルいくとあとが怖い」。短期決戦で流れが変わるのは致命傷。初戦に敗れたが、3連勝で一気に決めた。

 前回ヤクルトが日本シリーズに出場した01年は選手として優秀選手賞に輝き、日本一に貢献した。「短期に弱い人の気持ちが分からない。先が見えた方が楽」と言うが、監督となれば別。初戦の試合前には緊張感を隠せず、ベンチではフッと息を吐く場面も目立った。

 初戦。敵将の原監督が早め早めに動いた。しかし「相手のペースに合わせて早めに動かないように気をつけた」というのが、短期決戦の戦い方だった。「つられそうになるところだが、我慢して我慢して」と信念を貫いた。口にし続けた「平常心」。第2戦では無失点を続けていた小川に8回まで任せた。7回の攻撃で先頭で打席が回ってきても、代えることはなかった。この日は杉浦が5回2死二、三塁で阿部を迎えたが、そのまま託した。結果的に2点を失ったが、チームの将来を担う背番号18にとっては大きな財産となった。

 福岡行きの切符を手にし、次なる相手はシーズン90勝を挙げた王者ソフトバンク。「楽しみです。うちの今の状態でどこまで通用するのか」。2年連続最下位から成し遂げたリーグ優勝、そしてCS突破。最強のチャレンジャーの戦いにはまだ続きがある。「胸を借りるつもりで戦います」と笑った指揮官。就任1年目の「ツバメ改革」は日本一で完結する。 (町田 利衣)

 ≪CS出場5度目にして初突破≫ヤクルトがCS出場5度目にして初めて突破。01年以来14年ぶり7度目の日本シリーズ進出を決めた。チームを率いるのは就任1年目の真中監督。新人監督の日本シリーズ出場は今季の工藤監督(ソ)に次ぎ17人目(セ8人目)。チームでは前身球団を通じ初の快挙になった。また、PO、CSを突破した新監督は、同じく工藤監督に次ぎ6人目だが、セでは真中監督が初めてだ。なお、日本シリーズで新監督同士が対戦するのは04年の伊東監督(西)対落合監督(中)に次ぎ4度目。

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