ロッテ田村、やんちゃな男が号泣…CS敗退で芽生えた決意

[ 2015年10月18日 10:00 ]

クライマックスシリーズで貴重な経験を積んだ田村

 ロッテの3年目捕手・田村のあんな表情は初めて目の当たりにした。ソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)初戦(14日、ヤフオクドーム)。延長10回、先頭の代打・上林を空振り三振に抑えたかのようにみえた。ところが、ワンバウンドした球は田村の後ろのファウルグラウンドに転がり、振り逃げで出塁を許した。このプレーがきっかけで痛恨のサヨナラ負けを喫し、試合後に田村はベンチでタオルで顔を覆って号泣した。

 「僕のせいで負けてしまった…」

 吉鶴バッテリーコーチがチーム宿舎の田村の部屋を訪ねると、まだベッドの上で泣いていた。「おまえは幸せだよ。この舞台に立てているからこそ、経験できた失敗なんだから。これはおまえがもっと成長するための大事な経験。この悔しさを次に生かしていけばいい」。コーチの言葉にじっと聞き入りながら、田村は静かにうなずいた。

 田村を初めて取材したのは5年前だ。青森の光星学院(現八戸学院光星)の1年生捕手で、当時から強打に注目が集まっていた。高校通算37本塁打、2年夏から3季連続で甲子園準優勝という輝かしい経歴を引っさげてプロの世界に飛び込んできた。性格はふてぶてしくて、人なつっこい。この印象は初対面の頃から変わっていない。先輩選手にも物おじすることはない。だが、決して生意気ではなくかわいがられるキャラクターで、大物感たっぷりの“プロ向き”の性格。個人的にも思い入れがある選手のひとりだ。

 そんな田村が初めて人前で見せた涙。伊東監督はシリーズ敗退が決まった夜、こんな話をしていた。「田村はだいぶ成長したよ。まだまだなところも多いけど、いい経験を積んでいる」。今季はレギュラー捕手として投手陣を引っ張り、盗塁阻止率・429は堂々の12球団トップ。球界を代表する名捕手だった指揮官も田村の才能を高く評価しており、大きな期待を寄せている。

 CSファイナルSは3連敗で「下克上」の夢が終わった。今季の戦いを終えてヤフオクドームからバスに乗り込む田村は少しすっきりした表情で言った。「初戦であんなミスをしたのに、伊東監督は2戦目、3戦目もスタメンで使ってくれた。この経験を生かさないと監督に恩返しができないじゃないですか。もっとたくましい捕手になってみせます」。涙から芽生えた決意が、きっと「やんちゃな田村」を「大人の田村」に成長させるはずだ。(重光 晋太郎)

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