ハム・中島 タイトル、球宴…初ものづくし今季 飛躍のワケ

[ 2015年10月11日 11:00 ]

日本ハム・中島卓也

 日本ハム・栗山監督が「チームになくてはならない選手」と全幅の信頼を寄せる選手がいる。主砲の中田でも二刀流の大谷でもない。今季初めて全143試合にスタメン出場し、走攻守にわたる活躍でチームに貢献した遊撃手・中島卓也のことだ。

 中島にとって15年は初ものづくしの飛躍のシーズンだった。初めて球宴に出場し、侍ジャパンにも選出され、34盗塁で自身初のタイトルとなる盗塁王にも輝いた。打率も自己ベストの・264をマーク。日本ハムファンによる「彼氏にしたいランキング」で1位となった甘いマスクで人気もあるが、浮かれる様子はまったくない。職人気質の24歳は「自分のやるべきことをやっただけ」とシーズンを振り返って言った。

 自分の置かれている状況を冷静に分析し、行動し、現在のポジションを勝ち取ってきた。高校時代(福岡工)に甲子園に出場したことはない。08年にドラフト5位で入団し、11年に初めて1軍に昇格。12年に105試合に出場したが、打率は・114に終わった。打撃力の向上がレギュラー獲得への鍵だった。身長1メートル76、体重70キロと野球選手としては恵まれた体格とは言えない。だからこそ、プロの世界で生き残るために何が必要かを必死に考えた。

 打席では追い込まれてから際どい球をひたすらカットする。「自分は本塁打が打てるわけではないし(試合に)出るためには“粘り”とか嫌がられる方が生き残れると思った」。今や中島の代名詞とも言える“粘り”はそこから生まれた。シーズンを通してホームゲームの前には必ずといっていいほど早出特打を行った。「ポイントを(体に)近くするのでその分、タイミングを早く取るということができるようになった」。地道な努力が今シーズンの飛躍につながった。

 だが、まだ満足はしていない。チームはソフトバンクに独走を許し、2位に終わった。「悔しい気持ちはある。やられっぱなしなので、このままじゃ終われない」。クライマックスシリーズでレギュラーシーズンの借りを返すべく、中島はそう言葉に力を込めた。飛躍の15年を簡単に終わらせるつもりはない。(中村 文香)

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2015年10月11日のニュース