伊東監督 不振の今江起用ズバリ「短期決戦を経験しているから」

[ 2015年10月11日 05:41 ]

<日・ロ>2回1死満塁、今江は大谷から走者一掃の逆転適時二塁打を放つ

パ・リーグ クライマックスシリーズ・ファーストステージ第1戦 ロッテ9-3日本ハム

(10月10日 札幌D)
 クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(3試合制)が10日、セ・パともに開幕し、パ・リーグはレギュラーシーズン3位のロッテが2位日本ハムに9―3で快勝した。2回に今江敏晃内野手(32)が、相手の3冠エース、大谷翔平投手(21)から逆転の3点二塁打。05、10年の日本シリーズでMVPを獲得した「下克上戦士」がまたしても大仕事をやってのけた。11日の第2戦で勝てば2年ぶりのファイナルステージ進出が決まる。

 難攻不落の右腕を完璧に打ち崩した。1点を先制された直後の2回だ。05、10年の日本シリーズでMVPを獲得している「お祭り男」の今江が1死満塁の絶好機で、打席に入った。

 「いきなりチャンスで回ってきたので“オイオイ”と思いましたけど。完璧でした。(感触を)覚えていないぐらい」

 大谷の投じた低めの159キロ直球を捉えた打球は左中間を真っ二つ。走者一掃の適時二塁打で逆転に成功した。「一気に3点取れて、いい流れが来た。その後もいい形で点が取れましたからね」。続く3回には2死走者なしから福浦、クルーズ、鈴木の3連続二塁打で2点を奪い、相手エースを2回2/3でKO。この時点で、勝負ありだった。

 ポストシーズンの戦いを熟知している「経験の勝利」だった。伊東監督は西武の黄金時代の正捕手としてリーグ優勝14回、日本一を8回も経験。「とにかく初戦が大事」と繰り返してきた。今江は左手首の骨折から復帰した9月10日以降、打率・225と調子が上がらなかったが、経験値を買って、今季初の8番でスタメンで起用。この采配がピタリと当たり「ゴリ(今江)がよく打ってくれた。短期決戦を経験しているからね」。今江も「(相手が)リズムに乗る前にどれだけ点が取れるかが勝負。(8番に入って)ある意味持っていますね」と胸を張った。

 「下克上」を再現するための条件は整っている。過去のファーストSの突破率は100%。さらに今年は5年周期で日本一に輝く「ゴールデンイヤー」と呼ばれている。過去2度の日本一に貢献し、この日も2安打を放って得点機を演出した福浦は、5年前と共通する点が多いという。「10年も最後まで苦しんでCS出場を決めた。3位だからプレッシャーはないし、みんな開き直って楽しんでいた。そういう雰囲気は今と似ている」と振り返った。

 レギュラーシーズン最後の14試合を12勝2敗で駆け抜け、西武との激しい3位争いを制した。その勢いで敵地で先勝し、ファイナルS進出に王手をかけた。日本ハムにはレギュラーシーズンから5連勝。今江は「うちは勢いのチーム。簡単にはいかないだろうけど、もちろん2連勝で決めてやろうと思っています」と言い切った。ポストシーズンにめっぽう強い「秋ロッテ」の勢いは、簡単に止められそうにない。(重光 晋太郎)

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