“代打の切り札”由伸 PS史上初珍事、押し出しサヨナラ!

[ 2015年10月11日 05:30 ]

<巨・神>延長10回1死満塁、代打・高橋由はサヨナラ押し出し四球を選びバットを手にガッツポーズしながら一塁へ

セ・リーグ クライマックスシリーズ・ファーストステージ第1戦 巨人3-2阪神

(10月10日 東京D)
 フルカウントからの6球目が内角に外れると、巨人・高橋由はバットを掲げながら一塁へ。すぐに巨人ナインの歓喜の輪が広がった。ポストシーズン史上初となる、押し出しサヨナラ勝ち。どうしても欲しかった初戦白星に、原監督はかみしめるように振り返った。

 「内容はともかくとしても、先勝できたのが非常に大きい。最後はかろうじて1点もぎ取った」

 昨年のファイナルSで屈辱の4連敗を喫した阪神相手に、戦況を見極め、冷静にタクトを振った。延長10回1死一、二塁で打席には亀井。次打者・沢村のところでネクストバッターズサークルにアンダーソンを準備させていた。「ツーウエー(2通り)ですね。2死ならアンダーソン、1死で塁が詰まったら由伸」。亀井が歩き満塁となり、「あそこは切り札を出す場面だと思った」と、勝負手を繰り出した。

 延長は最長12回。引き分けは上位チームには勝ちに等しい。その状況に高橋由の勝負強さを加味した。今季の代打打率は・395で、代打以外も含めた5度の満塁機で3度(押し出し2、犠飛1)打点を挙げている。選球眼、卓越した技術、相手を威圧する「顔」。まさに切り札だ。昨年は右手中指の故障でポストシーズン不出場。自身初のサヨナラ押し出しを選んだ40歳は「(最後は)自信を持って見送った」とはにかんだ。

 原監督はCSを前に後攻の優位性についてこう語った。「延長戦は間違いなく有利。あと、目標を定めやすい。後攻めというのは見えた状態で戦えるという利がある」。百戦錬磨の指揮官の采配が、本拠地開催を利した超短期決戦でさえた。

 5回には1死二塁から投手のマイコラスが先制二塁打。直前の8番・小林の犠打が生きた。原監督は「(マイコラスは)前の打席で真っすぐに対して目が慣れている」と判断して奏功。延長10回の決勝点は無安打で挙げた。戦いの鍵を「得点力をいかに上げられるか」と分析し、得点の確率を上げる策を講じ続けた。

 福田が野球賭博に関与した疑いが明らかになって以来、初めての試合。ブルペンで行った試合前ミーティングでは、坂本が「CSを勝ち抜いて日本シリーズに行きましょう」と声を張り上げた。チームの使命は一丸となり、日本一に向けて勝ち続けること。原監督は「点数(の少なさ)はいつも通りの気がするけど、まだできますね」と手綱を締めた。逆風の中、巨人らしい強さを見せつけた。(大林 幹雄)

 ≪最年長40歳6カ月≫巨人は延長10回に高橋由が押し出し四球を選びサヨナラ勝ち。プレーオフ、CSでサヨナラ試合は9度目だが、押し出し四球は初めてになる。日本シリーズでもサヨナラ試合35度のうち、安打以外の決着は50年第6戦(毎日―松竹)の失策、03年第3戦(阪神―ダイエー)の藤本の犠飛と2度だけ。押し出しでのサヨナラは、ポストシーズン史上初の珍事となった。また高橋由は40歳6カ月で、40代打者のサヨナラ打点はプレーオフ、CSで初。ポストシーズンでは92年日本シリーズ第1戦でサヨナラ本塁打の杉浦(ヤ=40歳4カ月)を上回る最年長。

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2015年10月11日のニュース