ヤクルトの「ウグイス嬢」川路麗さん 再び歓喜のアナウンスを…

[ 2015年10月7日 08:30 ]

神宮球場でアナウンスをする川路さん

 10月2日。ヤクルトが14年ぶりのリーグ制覇を決めた瞬間、感慨深く、でも冷静にその状況を見つめている人がいた。セ・リーグ優勝を告げるアナウンスが、こだまする。声の主は川路麗さん。神宮球場でアナウンスを担当して32年目になった。

 運命に導かれるように「ウグイス嬢」への道を歩んだ。高校を卒業してヤクルト球団へ入社。偶然にも2軍のアナウンス役に空きがあり、営業の仕事と並行しながら、2軍の試合のアナウンス業をスタートさせた。「やってみたいとは思っていたが、やれるとは思っていなかった。やってみたら大変だった」と当時を振り返る川路さん。熊本出身。イントネーションの違いが一番の難関で、2文字の苗字の選手に悪戦苦闘する。荒木大輔氏と「同期入団」の川路さんは、2軍で修行を積み、1軍への道を切り開いた。

 今では大のベテランでも、シーズン序盤の4月には常に緊張感に襲われ、ヘルベスができることもある。試合展開によってはトイレを我慢することもある。「年々早くなっていく」と話すシーズンは今年も幕を閉じた。しかし、今年はクライマックスシリーズが本拠地で開催される。川路さんにとってのシーズンも、まだ続きが待っている。

 90年代、黄金時代と呼ばれた時代も、アナウンスで携わってきた。「私にとっては、古田さんとかがいた強いときのイメージが強い。ここ何年か優勝から離れていたが、それでも強いイメージが残ったまま」という。どんなときも、同じ場所から見てきた。だからこそ、願う。「またそんな時代が来てほしいな」。涙を流し、歓喜に沸くナインたちを見守った川路さんは、再び歓喜のアナウンスをすることを思い描いていた。(町田 利衣)

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2015年10月7日のニュース