MLBでも進むペーパーレス iPad使用許可でバインダーが消える!?

[ 2015年10月5日 09:40 ]

 メジャーリーグの監督室には、何冊ものバインダーが置いてある。中身は、対戦相手別の膨大なデータ資料。打球方向や投手の配球傾向などが、一目で分かるようにグラフィック化されており、試合中もベンチに持ち込み、戦略を練る。しかし、来季はこのバインダーが消えるかもしれない。

 9月中旬。MLBが30球団に突然、ある通達を行った。「試合中、ベンチでのiPadの使用を許可する」というもの。ただ、厳しい規制がある。iPadは4台までで、試合中の外部との接触を禁止するために、WiFiなどの通信はできない。ナイターの場合、午後3時までに必要なデータをダウンロードし、その後はセキュリティーボックスで保管。試合直前から使用可能となる。

 これまでは分厚いバインダーをめくって、必要なデータを探す必要があったが、これからはiPad1台でより膨大なデータを簡単、かつ迅速に引っ張り出すことができる。活用例としては、打者がベンチからグラウンドへ出て行く場所に、iPadを手にした打撃コーチが立ち、打席に向かう直前に対戦投手の配球傾向を見せる。

 既にカージナルス、メッツなどがMLBの許可を得て、シーズン終盤に使用。ポストシーズンでも活用する方針だ。63歳のマリナーズのリック・ウエイツ投手コーチも「今までもデータ管理にiPadを使用していたから、ありがたい。私にとっては眼鏡をかけずに済む。紙に書かれた小さい文字は読みにくいけど、iPadなら拡大できるしね」と歓迎する。

 その一方でアナログ派もいる。レッズのブライアン・プライス監督は、バインダーに加え、自分で気付いたことをメモしたノートを活用。地元紙の取材に「私はiPadは使わないと思う。自分で気付いたことを紙に書くことで、頭に入ってくる。だからノートの方が重要」と話している。

 今季、広島に復帰した黒田も、メジャー時代は、打者ごとの攻め方を9分割にしたチャートに細かく記し、それをバインダーに綴じていた。球団から与えられたデータをそのまま利用するのではなく、自分流にアレンジすることで、頭にインプットする。プライス監督と同じ考え方だ。

 間もなく開幕するポストシーズン。両軍ベンチの監督は果たしてアナログ派か、デジタル派か――。その手元に注目するのも面白い。多くの球団は来春のキャンプからiPadの活用を実験するという。MLBもペーパーレスの時代は急速に進んでいる。(甘利 陽一)

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