亡き父の教えを体現…西武・秋山 日本新216安打「まだピンとこない」

[ 2015年10月2日 05:30 ]

<オ・西>6回1死、秋山が三塁内野安打を放ち送球より一瞬早く一塁ベースを踏む
Photo By スポニチ

パ・リーグ 西武1-4オリックス

(10月1日 京セラD)
 西武の秋山翔吾外野手(27)が1日、今季最終戦のオリックス戦で2安打を放ち、シーズン216安打のプロ野球新記録を樹立した。6回に三塁内野安打して、10年に阪神・マートンがつくった214安打の最多記録を更新。9回には左中間三塁打を放った。6~7月にプロ野球歴代3位の31試合連続安打を記録するなどプロ5年目に大ブレーク。来年は史上初の2年連続200安打達成が懸かるシーズンとなる。

 まぶしそうにうつむく。少しはにかんだ秋山を、事の重大さを示す無数のフラッシュが襲う。

 「まだ本当にピンとこないんです。本当にこれだけの本数を打ったのかな…という感じです」

 前日5安打し、プロ野球記録に並んで迎えた今季最終戦。その第3打席だった。バリントンが高めに投じた143キロ直球に食らいついた。三塁へのボテボテの当たりに無我夢中で走る。一塁を駆け抜けると両手を大きく広げた。「(三塁手が)ボールを握り直したのは後から知った」。内野安打でシーズン安打記録の頂に立った。さらに、4点を追う9回。左中間三塁打で216安打に伸ばす。驚異のシーズンを、打率・359で終えた。

 父への恩返し――。秋山は入団前、「父とプロ野球選手になるという約束をした。野球選手になることが恩返し」と真っすぐ前を見た。小学5年の終わりだ。その約1年後にがんで他界する父・肇さんに手を引かれ、軟式野球チーム「湘南武山フェニックス」に入団して本格的に野球を始めた。現在と同じ「1番・中堅」で主に試合に出場。当時の田村仁監督(64)は「父親は野球に熱心で厳しかった。ヒット1、2本じゃあ満足しない」と振り返り、「自分の思いがあったのかも…」と付け加えた。

 高校球児だった肇さんは、腰を痛めて諦めた夢の続きを息子に託した。生後数カ月から、抱き上げてはその指を反らすようにした。ボールを握りやすい大きな手をつくるため。幼稚園に入学すると体操教室と、水泳教室を掛け持ちさせた。小2からは陸上も学ばせ、走り方を教え込んだ。決して息子を褒めることはないほどスパルタだった。215安打目は内野安打。その足でもぎ取った。

 西武入りで恩返しを果たしてから5年後、秋山は日本で一番のプロ野球選手になった。「野球界の先輩方の上に名前があるのが恥ずかしい」。静かにかみしめた。この日ばかりは天国の父から、褒め言葉をもらえたはずだ。(神田 佑)

続きを表示

この記事のフォト

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

2015年10月2日のニュース