ヤクルト一気王手Ｍ１！２９日、引き分け以上で１４年ぶりＶ

＜ヤ・中＞Ｍ１を喜ぶ山田（中央）らヤクルトナイン

セ・リーグ ヤクルト６―２中日

（9月28日 神宮）
　ついに王手だ。ヤクルトは２８日、中日を６―２で下し、２位・巨人が阪神に敗れたため、優勝へのマジックナンバーを１とした。１点リードの２回に打線が爆発。上田剛史外野手（２６）の右越え２ランなどで４点を奪い、リードを守り通した。２９日の広島戦に引き分け以上で１４年ぶり７度目のリーグ優勝が決まり就任１年目の真中満監督（４４）が宙を舞う。

　一気に王手をかけた。前日にマジック３が初点灯し、迎えた本拠地での一戦で快勝。２位の巨人が阪神に敗れて「１」となった。試合後、一塁側スタンドからの大声援に手を振って応えた真中監督は開口一番「藤浪が頑張ったね」とおどけた。

　緊張感はあっても普段通りの野球を貫ける強さがあった。初回に１番起用に応えた上田が初球を左前打。川端の連打で好機を広げると、畠山の遊ゴロの間に先制のホームを踏んだ。２回には下位打線が機能して追加点を奪い、さらに上田が右越え１号２ラン。プロ９年目で２度目の４安打をマークした上田は「監督からいつも“思い切っていっていい”と言われている。積極的にいったのがよかった」とリードオフマンの仕事を果たし喜んだ。

　ベンチ裏のホワイトボードには甲子園での阪神―巨人戦の速報が書き込まれていた。試合中盤に２―０で阪神がリードしていることを知ったという上田は「絶対に負けられない気持ちだった」。８回の攻撃前、巨人の敗戦を知ったライトスタンドのファンからは大きな拍手が湧き起こった。真中監督も「歓声で（阪神が）勝ったと分かったよ」と笑った。

　１４年ぶりのリーグ優勝へ、うれしいプランも用意された。神宮で優勝が決まれば、ファンの目前で祝勝会のビールかけが行われる。試合終了後にセンターバックスクリーン前に会場を設置。ファンと喜びを分かち合う「メジャー流」で祝う。ビール２０００本も運び込まれ、準備は万端だ。今季１軍に登録されたメンバーらも、その瞬間に備えて待機する。

　この日のミーティングでは、三木作戦兼内野守備走塁コーチが「勝負事はまとめが大事。勝ちきらないといけない。まだ何も決まっていないし、ゴールを切らないといけないんだ」と選手を鼓舞した。ゴールテープはすぐそこに迫った。「もう１つ何とか勝てるように。あす（２９日）決められるといいですね。頑張ります」と真中監督は気持ちを高ぶらせた。２９日のチケットは既に完売。満員のファンの前で指揮官が宙に舞う。（町田　利衣）