引退試合も全力プレー続けたガッツ小笠原、引退後に一番やりたいことは…

[ 2015年9月26日 15:59 ]

美代子夫人(左)、と小笠原

 引退試合となった21日の中日―巨人戦(東京ドーム)。中日・小笠原は試合中、絶えない笑顔が印象的だった。試合後、そのことを振られると「いいのか悪いのか分からないけど。自然と出てしまったのかな」と照れた。確かに普段の険しい表情は消えていたが、持ち前の全力プレーはそのままだった。

 試合前、片手ずつのスイングから始める独特のティー打撃。グラウンドで2人の愛娘とともに見守っていた美代子夫人は、小笠原の表情の微妙な変化に気付いた。「カメラのフラッシュを嫌がっていましたね」。19年間築き上げてきた、自身の打撃をチェックする大事なルーティン。引退試合でも、真剣勝負に変わりはない。そして、優勝を争っている古巣・巨人との試合に臨む上で、普段通り、万全の準備をして臨みたい気持ちの表れだったのだと思う。

 打席結果は空振り三振、遊撃内野安打、そして亀井が好捕した左翼線への飛球。フルスイングと全力疾走を貫いた。一塁の守備でも手を抜かなかった。5回無死一塁。打者・大竹が送りバントを試み、二塁手が一塁のカバーに入ると、小笠原は空いていた三塁へのカバーに走った。セオリーならあり得ないカバーリングだが、必死さが垣間見えた。

 記者は日本ハム時代に5年、巨人時代に1年、小笠原を取材した。「引退後に一番やりたいことは?」と聞くと、少し考えた後、穏やかな声で答えた。

 「ボーッとすることかな。シーズンが終わっても、今までは次のシーズンのことを考えなければいけなかったから」

 しばしの休息を経て、次の道へと全力で踏み出す姿を楽しみにしたい。(大林 幹雄)

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