原采配ズバリ!寺内 M点灯阻止「人生初」サヨナラ打

[ 2015年9月24日 05:30 ]

<巨・神>9回1死二塁 寺内は中前にサヨナラ打を放ちバンザイ

セ・リーグ 巨人3―2阪神

(9月23日 東京D)
 巨人の寺内崇幸内野手(32)が23日、阪神戦の9回1死二塁から中前にプロ9年目で自身初となるサヨナラ打を放った。左ふくらはぎの肉離れで長期離脱していたが、優勝争いするシーズン終盤に値千金の活躍を演じた。原辰徳監督(57)の代打策も的中。広島に勝った首位・ヤクルトとの2ゲーム差を保ち、優勝マジック点灯を阻止。東京ドームでは10連勝となり、9年連続の70勝に到達した。

 プロ9年目の「名脇役」が主役になった。「人生初」というサヨナラ打を放った寺内は東京ドームに響く「寺内コール」に手を振って応えた。

 「最高の気分。思い切って全部振ろうという気持ちでいきました」

 9回に守護神・沢村が同点にされた直後の攻撃。1死二塁の好機を築いた。大田や井端らがベンチで控える中、原監督は7回代走で途中出場していた9番の寺内をそのまま打席に向かわせた。

 「彼は意外性というか、そういう力を発揮できる人。非常に期待しました」。13年のポストシーズンで広島・前田健、楽天・田中(現ヤンキース)から本塁打を放っているラッキーボーイに託した。「自分で決めてやろうと強い気持ちだった」と寺内。守護神・呉昇桓(オ・スンファン)から中前打を放った。

 兄貴にささげる一打だ。オリックス・谷が今季限りで現役を引退。巨人時代に慕った先輩で寺内はすぐに連絡を取った。「谷さんも僕もお酒を飲まない。よく食事に誘ってもらいました」。引退会見を開いた16日、心を突き動かされた男はイースタン・リーグの楽天戦(コボスタ宮城)で逆転3ランを放ってアピールし、19日に1軍昇格した。

 5月23日の中日戦(ナゴヤドーム)で左ふくらはぎを肉離れして離脱。7月に2軍で実戦復帰したが、再発を繰り返し「気持ち的にも難しかった」と、どん底まで沈んだ。それでも、昨年11月に結婚した真奈夫人に栄養面を考えた食事などで献身的に支えてもらい、気持ちを奮い立たせた。

 劇的勝利を生んだ原監督の采配も見逃せない。1―1の7回は岡本に代打・亀井を送り、左翼線二塁打。1死三塁から代打の切り札・高橋由を投入し、一時勝ち越した。積極的に動いた7回とは一転、9回は寺内を信じた。「代えるつもりはなかった。向こうの戦力は少なくなったので焦って戦う必要はないと思った」。状況を冷静に見極め「動」と「静」を使い分ける。ベンチスタートの選手が期待に応え「うちの特長。それぞれが役割持って(ベンチに)入っている」と称えた。

 東京ドームでは10連勝。首位・ヤクルトに1日遅れで70勝に到達し、2ゲーム差を死守した。寺内はお立ち台で声のトーンを上げ「あすも勝つ!」と高らかに宣言した。(青木 貴紀)

 ▽寺内の13年ポストシーズン  10月17日、広島とのセ・リーグCSファイナルステージ第2戦で、0―0の3回1死一、二塁で前田健から左越えに決勝3ラン。7年間で通算4本塁打だっただけに「まさか入るとは思わなかった」。同27日の日本シリーズ第2戦では楽天に1―2で敗れたが、2点を追う8回に田中から「うまく高めを叩けた」と左越えソロを放った。同30日の第4戦でも同点の7回に右前に決勝打を放った。

 ▼巨人・亀井(代打で途中出場。2安打2得点)点に絡むことができて良かった。準備はしっかりできている。

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