横浜OBはなぜ伸びる?出身校を見れば選手がわかる「あるある」分析

[ 2015年9月21日 11:40 ]

素早いフィールディングを見せる涌井

 野球部を高校ごとに分析すると、プロに進んだ選手にもその遺伝子がはっきり息づいていることが見えてくる――。野球部研究家の菊地選手に学校ごとの特徴を聞いた。

 高校による指導の傾向が色濃く出ているのは松坂大輔投手(ソフトバンク)、涌井秀章投手(ロッテ)らを輩出している横浜(神奈川)だという。

 「横浜はすごく仕込まれて入ってくるという印象がありますね。“横浜からプロに入った選手あるある”として、プロに入ってから『高校時代の方が(サインプレーなど)細かかった』って言うんです。(長年コーチを務めていた)小倉(清一郎)さんが『(教え子の投手を)ピッチング以外のことで悩ませたくない』言っていました。けん制とかフィールディングは完ぺきに仕上げて、プロへ行ったらボールのスピードや質に集中して欲しいという思いがあるようです」

 OBがプロで続々結果を残している横浜とは対照的に、甲子園では結果を残しながら卒業生が伸び悩むと言われてきたのは明徳義塾(高知)と智弁和歌山だ。

 「他の全国区の学校ほど全国から選手を集めていないというのは聞きますね。(それでも甲子園で実績は残しているので)入ってくる素材を最大限引き出す指導をしていると言えるかもしれないですね」

 高校のカラーと反する選手に育ったとも見るのはソフトバンクの柳田悠岐外野手(ソフトバンク)。広島商と言えば小技や走塁、守備力を活かした緻密な野球が売り。体がねじ切れそうなほどのフルスイングを持ち味としている柳田は対極のようにも見える。

 「柳田が出てきたのは奇跡と言えるかもしれないです。広島商時代は当てにいくようなバッティングだったらしいんですけど。広島経大に行ったというのも結果的に良かったのかなと思います。ガンガン振れ、みたいなスタイルのところで」と大学の指導で花開いたのではと分析する。

 その一方で「柳田のすごいところはただぶん回しているだけじゃなくて打率も残せる。そのあたりは広島商の高校時代があったからなのかなという気もします」と広島商の伝統もプレーに反映されているという考えも示した。

 菊地選手はこのほど「野球部あるある3」(集英社)を発売。明徳義塾、広島商など「名門校あるある」がてんこ盛りで「真面目に読んだらとんでもない話もいっぱいありますが、悪いところもひっくるめて野球部の人間臭さと思って見て欲しいなと。柳田の高校時代を否定するのではなく、あれがあったから今があると思いますし」と高校球児への慈愛に満ちた表情で語った。

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2015年9月21日のニュース