大谷「短期決戦で必要」新魔球フロントドアで14勝、CS決めた

[ 2015年9月20日 06:00 ]

<日・西>6回2死三塁、中村を三振に仕留め、雄叫びを上げる大谷

パ・リーグ 日本ハム6-1西武

(9月19日 札幌D)
 最後は切れ味鋭い変化球で三振を狙った。6―1の9回2死一塁、打席にはメヒア。日本ハム・大谷は外角にスライダーを投じ、空振り三振に仕留めた。2年連続のCS進出を、今季4度目の完投勝利で決めた。

 「右打者にインコースのスライダーとか(これまで)やっていなかったことができた。CSの前に試すことができて良かった」。今季最多の139球の熱投には「ニュー大谷」がいた。5回に右打者の岡田を内角のスライダーで見逃し三振。7回にも同じ右打者のメヒアに内角のスライダーで見逃し三振に仕留めた。内角のボールゾーンからストライクゾーンに入ってくる「フロントドア」だ。「1個(配球の)種類が増えた。短期決戦ではますます必要になる」。CSで対戦する可能性のある3位・西武を6回2死まで無安打。わずか2安打で11三振を奪い、自身の連敗を2で止めて14勝目を挙げた。184奪三振は楽天・則本を抜いてトップに立ち、勝利数、勝率、防御率と合わせて4冠となった。

 「今までは右打者への内角は(死球の)リスクを負って投げる必要がなかった」。前半戦は10勝を挙げたが、後半戦は打ち込まれる試合も目立った。昨季も後半戦は2勝止まり。今季も8月末頃に疲労のピークが来ていた。白水(しろず)直樹コンディショニング担当は「足や腕を上げているつもりでも(無意識に)上がっていなかったりと、“体の調整力”が落ちていた」と証言し、「雨天中止で体が楽になっている」と続けた。当初は17日だった先発予定が2日ずれたのも味方し、フロントドアという新たな引き出しも見せた。さらに最速158キロの直球にカーブを織り交ぜる緩急を使う投球も見せた。

 この日、バックネット裏では11月に行われる国際大会「プレミア12」の開幕戦で対戦する韓国代表のスカウトが大谷を視察。そんな中で侍ジャパンの小久保監督から広島・前田健とともに開幕投手候補に挙げられる大谷は、栗山監督に「きょうは完封させてあげたかった」と悔しがらせるほどの快投を見せた。優勝は逃した。だが、CSからの日本一へ向け、二刀流右腕が再び歩み始めた。(柳原 直之)

 ▼フロントドア 打者に対して内角のボールゾーンからストライクゾーンに入る軌道を描くボールのこと。右打者の場合は内角へのスライダー、左打者には内角へのツーシーム(シュート)。打者にボール球だと判断させ、ストライクゾーンに変化することで効果が生まれる。フロントドアは死球になる可能性もあり、より高度な制球力が要求される。

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