メジャーは「2番最強説」 山田&柳田で“スモール”超越可能 

[ 2015年9月18日 09:00 ]

ソフトバンクの柳田

 09年の第2回WBCで日本が連覇した直後だったと思う。当時のレッドソックスの監督だったテリー・フランコナ氏が、日米の野球の違いを話していた。その時に出たのが2番打者だった。

 「メジャーリーグでは2番打者は0アウトないし、1アウトで回る。1番が出塁すれば、足を警戒して球種は限定される。しかも打順も数多く回る。2番に一番いい打者を置くには理由がある。日本はまず1点を取るために、何でもできる選手をそこに置く。1点を取ることに特化して打順を組んでいる」

 大リーグでは、学者や各球団が詳細なデータを出し、2番に最強打者を置く例が目立つ。今季も再激戦のア・リーグ東地区でヤンキースを抑えて首位を走るブルージェイズには、2番打者にジョシュ・ドナルドソンがいる。今季、ブ軍の2番打者の成績は打率、本塁打、打点ともに3番、4番の打順別成績を上回る。

 フランコナ監督の話に戻れば「確かに短期決戦では1点の重さが違うので、日本のような現実的な打順を組むのがいいかもしれない。ただ、スターがそろっているのだから、もっと爆発的な得点力を期待してもいいのではないか。日本はその可能性をつぶしている部分もあると思う」と続けた。

 当時は、日本とメジャーでは選手のパワーも違う。まともにぶつかることは得策ではなく、「1点を大切にする」規律のとれた野球こそがベストと考えていた。パワーに対抗するために、「2番最強説」は日本には当てはまらないとも思った。だから、フランコナ監督の言葉も、野球の違いとしか、感じていなかったように思う。

 でも、11月に行われるプレミア12のことを考えると「2番最強説」を実践する打順も組めると感じている。山田(ヤクルト)、柳田(ソフトバンク)のトリプルスリーコンビがおり、中田(日本ハム)、中村(西武)、筒香(DeNA)、松田(ソフトバンク)ら中軸を担える選手もそろっている。メジャーリーガーの参戦が事実上なくなったことは残念だが、日本がこれまで掲げてきた「スモールベースボール」を超越した野球はできる。

 私個人としては、1番・山田、2番・柳田を見てみたい。緻密さに加えて、世界に日本野球がもう一段階スケールアップした姿をみせる戦いを期待したい。(倉橋 憲史)

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2015年9月18日のニュース