ゴジラの恩返し!基金設立 日米で野球教室開催へ

[ 2015年9月17日 10:50 ]

3月の東日本大震災被災児童自立支援プロジェクトでデレク・ジーター氏(右)と打撃指導する松井氏 (右)

 ヤンキースのGM特別アドバイザーを務める松井秀喜氏(41)が、米国でNPO法人「Matsui 55 Baseball Foundation’Inc.(松井55ベースボールファウンデーション)」を設立した。同法人が16日に発表したもので、少年少女の野球を発展、普及させる目的の基金。同氏が代表理事を務める。年内には米国や日本での子供を対象にした野球教室の開催を予定しており、野球界およびファンへの恩返しへの大きな一歩となる。

 松井55ベースボールファウンデーションの設立を発表した同法人は、設立の目的を「非常に大切な野球およびファンへの恩返しの一環として、少年少女野球を発展・普及させること」とした。

 松井氏は今年3月に東京ドームで、ヤ軍時代にチームメートだったデレク・ジーター氏と東日本大震災の被災者を支援する慈善イベントを行った。ジーター氏は96年に「ターン2基金」を設立し、青少年の反薬物の啓発活動などを支援。これまで2000万ドル(約24億円)前後の寄付金を募ってきたという。東日本大震災直後に5000万円の義援金を送るなど、個人的に多方面にわたって支援を続けてきた松井氏はその際、「ジーターの基金から助言も得て、何かを始められたらなと思っています」と新たなチャリティー基金の設立に意欲を示していた。

 ジーター氏が20代前半で基金を設立したように、米スポーツ界では現役時代から自らの氏名などを冠した基金でチャリティー活動を行うケースは多い。松井氏は今回の法人設立で、より広範囲で大規模な慈善活動が可能になる。本拠はニューヨークに置かれ、開設された公式サイトのトップページには「2015年10月始動」と記されている。今年は10月にニューヨーク、11月にロサンゼルス、12月に日本で子供を対象にした野球教室を開催予定であることも重ねて発表された。

 現在はヤ軍GM特別アドバイザーとして、傘下マイナー球団を巡回して指導。若手野手の底上げに一役買っており、14日にはレイズ戦で、3Aスクラントン時代に指導した左打ちの外野手ヒースコットが9回2死から決勝3ランを放った。くしくもヤ軍新人で9回以降に勝ち越し本塁打を放つのは、03年の松井氏以来。現在は背番号72だが、5月の初昇格時には松井氏の代名詞の「55」を背負っていた教え子の大活躍だった。

 グラウンド上では指導者としてすでに新たな一歩を踏み出しており、基金設立でグラウンド外でも新たなステージを迎えることとなる。野球界に対する情熱と感謝の念は一向に衰えていない。

 ◆松井 秀喜(まつい・ひでき)1974年(昭49)6月12日、石川県能美市生まれ。星稜から92年のドラフト1位で巨人入団。02年オフにFA宣言し、ヤンキースへ移籍した。09年に自身初のワールドシリーズ優勝へ導き、日本人初の同シリーズMVP。翌年からエンゼルス、アスレチックス、レイズを経て、12年限りで現役引退。日米通算20年間で2643安打、507本塁打。13年5月には国民栄誉賞を授与された。今年3月にヤンキースのGM特別アドバイザーに就任。

続きを表示

2015年9月17日のニュース