守役が主ヤク!正捕手・中村「特別なうれしさ」首位守るサヨナラ打

[ 2015年9月16日 05:30 ]

<ヤ・D>9回2死三塁、中村は中前にサヨナラ安打を放つ

セ・リーグ ヤクルト2-1DeNA

(9月15日 神宮)
 ヒーローは三遊間まで逃げた。今季5度目のサヨナラ劇で、今季最多タイの貯金6。首位を死守したヤクルトナインはベンチを飛び出し、水やスポーツドリンクを手に中村を追い掛ける。最後は氷のシャワーで手荒い祝福だ。「めっちゃ濡れてます」。ユニホームに手をやり、ほほ笑んだ。

 1―1の9回2死三塁。岡島の2球目のカーブを捉えた。「打った瞬間は覚えてない」。自身2度目のサヨナラ打が中前に抜けた。前回は13年8月13日の中日戦(神宮)で浅尾から打ったが「前の時は最下位だった。優勝争いの中でのサヨナラは特別なうれしさがあります」と喜びも格別だ。

 昨年オフに相川が巨人に移籍し、7年目で正捕手の座をつかんだ。今季は128試合中121試合でマスクをかぶる。生真面目な性格。野村克則バッテリーコーチからは「捕手は守れてナンボ」と厳しい指導を受ける。ベンチでもノートにメモを取り、リードのことばかり考えている。野村コーチは「杉村さん(打撃コーチ)には、僕がうるさいから(中村が)打撃に集中できないだろ、と怒られた」と笑う。

 昨季チーム防御率は12球団ワーストの4・62だったが、今季は3・37。中村の成長もその要因の一つだ。その分、定評があった打撃は打率・238と低調だったが、シーズン終盤での大仕事。「投手陣が頑張ってくれていたので打つしかないと腹をくくった」と自らのバットで勝利へと導いた。まだ25歳。23歳の山田、27歳の川端らと並ぶ若さの象徴でもある。

 大混戦の中、01年以来のリーグ優勝もうっすら遠くに見える。だが、11年目の田中浩は「ウチはチャレンジャーだ」とナインに言い聞かせる。11年シーズンの苦い記憶。2位に最大10ゲーム差で首位を独走したが9月に大失速し、優勝を逃した経験があるからだ。

 直前の名古屋遠征を1敗1分けで本拠に戻った。真中監督は「きょうはいいムードになってほしいゲームだった」と振り返った。中村は言った。「残り試合全部勝つつもりで頑張る」。14年ぶりの歓喜へ。若きチャレンジャーたちが一丸となった。(君島 圭介)

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