原監督 動の采配 2回途中で先発スパッと交代から逆転1差

[ 2015年9月13日 08:10 ]

<巨・D>2回途中降板の高木勇を見つめるベンチの巨人・原監督

セ・リーグ 巨人6-3DeNA

(9月12日 東京D)
 風向きを変える大胆采配だ!!巨人は12日、DeNAに逆転勝ちし、2連勝とした。0―2と劣勢を強いられると、原辰徳監督(57)は2回2死で先発・高木勇人投手(26)を早々と交代。序盤から継投策に打って出ると、5、6回の攻撃ではルーキー岡本和真内野手(19)、レスリー・アンダーソン外野手(33)の代打起用がいずれも的中した。同率首位で並ぶヤクルト、阪神に1ゲーム差に接近。ここからが王者の底力の見せどころだ。

 東京ドームがどよめく。高木勇が2回2死から投手の砂田に2点目の適時打を許すと、原監督は迷わずベンチを出て2番手に高木京を送った。

 「当然リリーフはプレッシャーがかかるけど、向こうが心地よく野球をやっているように見えたので、何とか風向きを変えたいなと思った」

 高木京は初回先頭の荒波が三塁打を放った時点でブルペンでの投球練習を開始。周到な危機管理の上での起用だった。左腕は「しっかり準備できていた」と3回1/3を無失点に封じ込め、球場内もチームも勢いづいた。

 前日の移動日。新神戸駅ホームで原監督は話していた。「なかなか、こっちの理想とはいかない。理想というのはどっかに置いておいて、ということだと思います」。先発が試合をつくり、7回以降はマシソン、山口、沢村の3人で締めるのが理想のパターン。しかし今求めているのは形ではなく結果だけだ。

 6回のルーキー戸根を挟み、7回に送ったのは田原誠。9日の阪神戦(甲子園)で敗戦投手となったマシソンではなかった。6回にブルペンで投球練習を行っていたのは田原誠だけ。4点を奪う6回の攻撃前から、首脳陣は7回を託す決断をしていた。今季年俸はマシソンの10分の1、1500万円の4年目右腕は3者凡退で期待に応えた。

 攻撃でも指揮官は攻めダルマと化し「風向き」を変えた。1―2からの5、6回の逆転劇だ。「攻撃という部分において、(流れを)逆回転させたかった。そのためには多少のリスク、思い切りが必要だと思った」。5回無死一塁から代打・岡本が本拠地初安打となる中前打を放つと、立岡にも強攻策で3連打。無死満塁とし同点につなげた。

 原監督は岡本の一打を「あれも風を変えてくれた。全体の空気が変わってきた気がします」と笑み。6回に村田の一発で勝ち越した後も、1死一塁から加藤が体勢を崩しながらヒットエンドランに成功。ここで代打・アンダーソンが3ランと、采配が的中した。

 2回までに先発投手がマウンドを降りた試合でチームが勝ったのは今季初めて。原監督は「全員の力を、何とかいいパワーとして出せたらと思います。きょうは選手がよくやってくれた」と称えた。残り15試合。3位という順位、上位2球団と比べた試合消化の早さは、いずれも逆風だ。

 10月決戦に持ち込むため、攻めの姿勢で挑み続ける。 (大林 幹雄)

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