藤浪「情けない投球」も負けず…「勝って反省できるのは幸せ」

[ 2015年9月10日 05:30 ]

<神・巨>4回2死一、三塁、投ゴロを一塁にまさかの悪送球する藤浪

セ・リーグ 阪神4-3巨人

(9月9日 甲子園)
 負けなかった。目下、自己最多タイの甲子園6連勝中。それが途切れることはなかった。やはり持っている。ただ、阪神・藤浪にとっては、反省の多いマウンドとなった。

 「情けない投球でしたが、それをカバーしてくれた野手の方に感謝したい」。7回3失点。先発の役割は果たしたが、もはやそれで納得できるレベルではない。試合後は深々とこうべを垂れた。

 「真っすぐを張られているのは分かっていたけど、力で押し切ろうと思った。シュート回転した甘い球じゃなく、厳しいコースに投げないと。勝負どころの一球が甘く入ってしまい、悔やまれます」

 悔いの残る1球があった。同点の7回2死一塁、阿部に対しフルカウントから投じた7球目の勝負球に、わずかな狂いが生じた。球威は十分。本来の縦回転のスピンが効いていれば、力でねじ伏せられたはずだったが、シュート回転して真ん中寄りに入った内角153キロ直球は、直後に右越え2ランへと姿を変えた。この回を投げきり、無念の降板。幸いにも直後に打線が同点に追いつき、何とか黒星は免れた。

 拙い1プレーも、響いた。「非常にもったいなかったです。中途半端になったことが、よくなかった」。1点リードで迎えた4回。2死三塁から村田を敬遠気味の四球で歩かせ、小林との勝負を選択。155キロ直球でバットをへし折り、打球は力なく自らの前へ。ここまでは計算通り。難なく捕球したが、歩きながら一塁に投げてしまった。まさかの悪送球となり、同点…。ベンチへ引き揚げる際には右手で帽子を取り、自らの足に叩きつけた。常に冷静を心がける背番号19が、思わず感情を表に出してしまうほどのミスだった。

 打っては3回1死二塁で左前打し一、三塁と好機拡大。次打者・鳥谷が二ゴロを放つと、鋭いスライディングで併殺を阻止し、先制点につなげた。投打両面で勝利への執念を前面に出した。だから一層1球、1プレーが悔しい。「勝って反省できるのは幸せなこと。今度は恩返しとして、自分が引っ張っていける投球がしたい」。この悔しさは、マウンドで晴らすしかない。(惟任 貴信)

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