マー、日米通算1500K 8回1失点も白星つかず“歴史的見殺し”

[ 2015年9月10日 05:30 ]

<ヤンキース・オリオールズ>5回2死、一、三塁、ハーディーを打ち取った田中

ア・リーグ ヤンキース1-2オリオールズ

(9月8日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が8日(日本時間9日)、オリオールズ戦に先発し、8回6安打1失点の好投も勝敗は付かず、12勝目はならなかった。今季初の2桁となる10三振を奪い、日米通算1500奪三振を達成。8回以上を1失点以下、2桁奪三振で白星が付かなかったのは、記録が残る1914年以降ではヤ軍では12年サバシア以来6人目の「歴史的見殺し」だった。チームも1―2で敗れ、首位ブルージェイズとのゲーム差は1・5に開いた。

 ヤンキースタジアムがブーイングに包まれる。5回、先頭への四球で初めて走者を許し、2死一塁。田中は二塁手寄りのゴロを打たせたが、遊撃手グリゴリアスがはじく。スコアボードに「H」のランプがともると、ノーヒットノーランを期待した地元ファンは「エラーだ!」と主張した。それほど抜群の投球だった。

 「メカニックの部分が良かったと思う。全てのボールをいい感覚で投げることができた」

 4回まで完全投球。田中は要因に「投球フォーム」を挙げたが、飽くなき向上心も理由だった。「スプリットが最近では一番良かったのかなと思う。この方がいいかな、というのを見つけて反映させられた」。伝家の宝刀。握りを浅めにしたことで、138キロ前後だったスピードがアップした。常時140キロ台前半。落差は小さくても、高速で変化させることでオ軍打線を幻惑した。2回、パレーデスから空振り三振を奪った4球目は直球と変わらない91マイル(約147キロ)を計測。「まあ、そうなるだろうなという感じ」と納得顔だ。

 最速95マイル(約153キロ)を計測した直球、カットボールに加え、カーブでも空振りを2度奪った。「僕のションベンカーブでは(空振りを奪ったことは)ないですね」と自己評価の低い球種もさえ、全球種を自在に扱った。ソロによる失点だけ。今季初の2桁となる10三振を奪い、日米通算1500奪三振も達成した。打線の援護がなく、勝てなかったが「8回1失点っていう、いいピッチングをして勝つ時もあれば、チームが負けてしまう時もある」と話した。

 5日にまい夫人の第1子の妊娠を公表してから初登板。身重の妻も客席から声援を送る中での好投に「球の勢いもあったと思う。空振りが取れているのはそれだけボールに切れがあったのかな」と確かな手応えを口にした。レッドソックスに勝った首位ブルージェイズとは再び1・5ゲーム差。それでもシーズンが佳境を迎える中、心強いエースの雄姿を見せた。

 「残り1カ月。ここまでイマイチなので。大事なところでしっかり力を発揮して、勝利につなげていける投球を一層、集中してやっていければいい」。パパになる男が、さらに頼もしく映った。(ニューヨーク・春川 英樹)

 ≪松坂に次ぐペース≫田中がオリオールズ戦で日米通算1500奪三振を達成した。日本時代の1238三振に加え、この日の5回にパレーデスからメジャー通算262個目の三振を奪った。1584回1/3での到達は、日本投手では7番目のペース。年齢で見ると、26歳10カ月は松坂(現ソフトバンク)と並ぶ8番目に相当する。

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