「トリプルスリー」達成に不可欠な選手としてのグレードアップ

[ 2015年9月8日 09:00 ]

ヤクルトの山田

 ヤクルト・山田が9月6日の広島戦(神宮)で、今季30個目の盗塁に成功した。同日の時点で打率・333、33本塁打。同一シーズンで打率3割、30本塁打、30盗塁をマークする、プロ野球で過去に8人しか達成者がいない「トリプルスリー」を確実なものとした。

 広島時代の95年に史上6人目の達成者となった野村謙二郎氏(スポニチ評論家)に、山田の快挙について聞いた。「開幕戦で広島の前田健から初回先頭で安打し、次打者の初球に盗塁に成功した。走ることへの強い意識を感じた」。昨季成績は打率・324、29本塁打、15盗塁。トリプルスリーへは盗塁が最大の課題だった。

 では、過去の達成者はどんな過程を経たのか。達成年と前年成績を列挙した。(丸数字は3割、30本塁打、30盗塁の到達回数)

◆別当 薫(大阪→毎日)
49年 率・322(2) 39本(1) 13盗-
50年 率・335(3) 43本(2) 34盗(1)

◆岩本義行(大陽→松竹)
49年 率・245- 8本- 5盗-
50年 率・319(1) 39本(1) 34盗(2)

◆中西 太(西鉄)
52年 率・281- 12本- 16盗-
53年 率・314(1) 36本(1) 36盗(1)

◆簑田浩二(阪急)
82年 率・282- 22本- 27盗-
83年 率・312(2) 32本(2) 35盗(4)

◆秋山幸二(西武)
88年 率・292- 38本(4) 20盗-
89年 率・301(1) 31本(5) 31盗(2)

◆野村謙二郎(広島)
94年 率・303(2) 10本- 37盗(3)
95年 率・315(3) 32本(1) 30盗(4)

◆金本知憲(広島)
99年 率・293- 34本(2) 10盗-
00年 率・315(3) 30本(3) 30盗(1)

◆松井稼頭央(西武)
01年 率・308(5) 24本- 26盗-
02年 率・332(6) 36本(1) 33盗(5)

 簑田を除く7人は、3部門のうち1部門以上が自身初到達。49年が大戦を挟んで7年ぶりのプロ復帰だった岩本は例外として、選手としてのグレードアップの結果がトリプルスリーだった。今年の山田に類似しているのが、盗塁を前年から3倍増させた金本。また、昨季の打率・317、15本塁打、33盗塁から記録達成を狙うソフトバンク・柳田は、本塁打急増の野村型と言えるだろう。

 打率が3割に満たない「30―30」達成は63年張本(東映)、80年簑田、87、90年秋山、01年井口(ダイエー)の5例。3割30本塁打や、3割30盗塁の組み合わせに比べて圧倒的に少なく、「打って、走って」がいかに難しいかが分かる。トリプルスリーに届かなかった最も惜しかった例は、新人時代の58年長嶋(巨人)。打率・305、37盗塁ながら、本塁打が29本とあと1本足りなかった。(和田 裕司)

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