能見 2年ぶり10勝 決め球フォークに陰りも

[ 2015年9月6日 05:30 ]

<中・神>最後を締めた安藤(手前)からウイニングボールを受け取り笑顔の能見(右)

セ・リーグ 阪神8-2中日

(9月5日 ナゴヤD)
 節目の1勝にも満足感は一切、漂わなかった。2年ぶりとなる2ケタ勝利にも浸ることなく、試合後、阪神・能見は足早に帰りのバスに姿を消した。

 「うまく鶴岡さんが緩急を使ってやってくれたのでね」

 序盤から直球でカウントを稼ぎ、チェンジアップを決め球に緩急を生かした投球で5回まで2安打無失点と快投を演じた。ただ、6回に荒木の犠飛で1点を失うと、7回も1死一塁でエルナンデスに左中間突破の適時二塁打を浴びたところで降板。和田監督も「6回でちょっとバテていたな」と振り返ったように、大量援護を受けながら6回1/3を2失点で降板は本人が一番不本意なはずだ。

 1日の広島戦(甲子園)が降雨ノーゲームとなり打者2人、11球を投げただけで“降板”。中3日と難しい調整を強いられてのマウンドも「チームが勝つことが一番なので」と多くを語ることはなかった。

 山あり、谷ありのプロ生活。時には自らのこだわりも捨て、結果を出してきた。昨年、プロ入り時からウイニングショットとして駆使してきたフォークに陰りを感じた。

 「もう前みたいなフォークを投げることはできないから。それは仕方のないことでね。でも、そこで昔のものに執着しても前には進まない。いろいろと他にできることを考えてやればいいから」

 36歳のベテランは迷うことなく“武器”を捨てた。今季、試合前練習ではひそかにキャッチボールでカーブを試投している。「まだ全然投げ方が分からないけど」と今季、試合では投じていないものの、アウト一つを奪うための“秘密兵器”として精度を上げている。

 まだ自身の星取は10勝11敗と1つ借金がある。9勝13敗に終わった昨年の数字を引き合いに「今年は勝敗を逆にできるように。自分で貯金が作れるようにしたい」と決意して臨んだシーズン。V争いが佳境を迎える中で、価値ある白星を積み重ねていく。(遠藤 礼)

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2015年9月6日のニュース