ヤク館山 “二刀流”虎狩り7連勝「つぶれるつもりで投げた」

[ 2015年8月31日 05:30 ]

<神・ヤ>4回2死一、三塁、左越え3ランを放つ館山

セ・リーグ ヤクルト11-8阪神

(8月30日 甲子園)
 完全アウェーの甲子園でのヒーローインタビュー。「打」について聞かれたヤクルト・館山は涼しい顔で振り返った。

 「振ったら当たりました。投球がふがいない分、何とか貢献できないかなと集中していきました」。初球を迷わず振り抜いた。4回、3―1と逆転し、なお2死一、三塁。高く舞い上がった打球は左翼席に消えた。10年に横浜(現DeNA)の大家から放って以来5年ぶり2度目の感触だった。前打者の中村は敬遠され、投手相手に初球からストライクを欲しがる場面。「直球一本に絞った」と振り返り、コースも内角に絞った。狙い通りに内角直球を捉えた。投手らしい読みがさえ、自らを援護。7得点のビッグイニングを演出し、真中監督も「ちょっと考えていなかったが、価値のある本塁打」と喜んだ。

 5回で92球を費やし、4安打1失点だった本業には「内容は褒められたものではない」と反省しきり。制球が定まらない初回に先制点を許し、3回以降も毎回得点圏に走者を背負った。それでも「つぶれるつもりで投げた。この時期は結果が全て」という言葉通り、追加点を許さなかった。

 右肘じん帯再建手術から実戦復帰し、2軍での登板を重ねていた5月。契約するナイキ社のランニングシューズをファームのスタッフ15人ほどにプレゼントした。「リハビリでお世話になっています。いつもありがとうございます」との思いを込めた。負ければ自力優勝の可能性が消える危機を救い、今季4勝目をつかんだこの日も「野手のおかげ。僕が5回で降りても、チームの連勝がつながった」と周囲への感謝の思いは尽きない。

 阪神戦は11年10月から7連勝。投げて打って「虎キラー」ぶりを発揮した34歳右腕は「先発は1週間に1度しかできない。きょうの内容は褒められたものではないが、また頑張っていきたい」と誓った。首位を争う巨人、阪神との6連戦を5勝1敗で終え、首位・阪神とは1ゲーム差。虎の背中を視界に捉えた。 (町田 利衣)

 ▼ヤクルト・大引(0―1の4回2死満塁で逆転三塁打)自分にとっても大きな一打。この時期はみんな疲れや痛みがあるもの。言い訳はできない。

 ≪5日には小川 チーム20年ぶり投手が月間2発≫館山(ヤ)が5回1失点で4勝目。阪神戦は通算17勝6敗と得意にしているが、11年10月18日に完封勝利を挙げてから7連勝となった。4回には10年8月6日横浜戦以来自身通算2本目となる本塁打。今月は5日の巨人戦で小川が本塁打しており、チームの投手で月間2本。ヤクルトで投手の月間2本塁打は02年4月にホッジスが1人でマークしているが、2人で記録したのは95年7月23日横浜戦で山田勉、同29日巨人戦で石井一久が放って以来20年ぶりだ。

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