エルドレッド延長V打 黒田負傷降板も打線沈黙も振り払った

[ 2015年8月30日 05:30 ]

<D・広>ファンの歓声に応えるエルドレッド

セ・リーグ 広島3-2DeNA

(8月29日 横浜)
 大砲が不穏な空気を振り払った。広島は29日のDeNA戦(横浜)に3―2で辛勝。同点の延長10回、ブラッド・エルドレッド内野手(35)が決勝打を右前へ運び、接戦にケリをつけた。

 チームを覆う重い空気を振り払うのは、やはりこの男しかいない。大黒柱の黒田が右手を負傷降板し、打線も沈黙が続いた苦しい試合。価値ある2打点がチームの勝利に直結し、エルドレッドは満足そうに振り返った。

 「クロダの後に続いた中継ぎ陣がゼロに抑えてくれたので、こういう結果になったと思う。自分の打点が勝ちにつながったのでうれしいよ」

 同点の延長10回。2イニング目に入った敵の守護神・山崎康を攻略した。先頭の丸が二塁内野安打で出塁し、菊池の犠打と、代打・松山の左前打で築いた1死一、三塁の好機。敵地の左半分を埋めた赤ヘル党の大歓声を浴びて助っ人が打席に入った。

 初球ストライクから、2球目の143キロ直球を強振。ライナーは惜しくも右翼ファウルゾーンに落ちたものの、これが決勝打の伏線となった。捕手・嶺井が中腰でウエストボールを要求した3球目。中途半端な高さの139キロ直球を見逃さず、詰まりながらもパワーで右前に運んでみせた。

 「ヒットの前のファウルと同じ直球。軌道はわかっていたので、同じ様に右方向に打った」

 初回2死三塁の好機でも先制の左前打を放ち、連続打点は6試合に伸びた。首位・阪神を4・5差で、2位・ヤクルト、3位・巨人を2・5差で追うシーズン佳境。総じて精彩を欠く打線にあって、昨季前半戦だけで29本塁打を放ち、チームを勢いに乗せたエル砲の存在、勝負強さは心強い。

 「(今季)前半戦はケガで出遅れたこともあって、自分のスイングができなかったが、もうそんなことを言っている場合じゃない。去年のいい状態に戻りつつある。1試合1打点を心掛けたい」

 8年ぶりのDeNA戦負け越しが決まった1夜明け。連敗すれば上位追い上げムードもしぼむだけに、緒方監督も「チーム一丸で勝ち取った。苦しいゲームを勝てたのは良かった」と安どの息だ。負けられない試合は続く。エルドレッドがバットでチームに勢いを呼び込む。(江尾 卓也)

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2015年8月30日のニュース