マー 日本人4人目2年連続2桁勝利も「先輩たちに遠く及ばない」

[ 2015年8月30日 05:30 ]

<ブレーブス・ヤンキース>7回3失点で10勝目を挙げた田中

インターリーグ ヤンキース15-4ブレーブス

(8月28日 アトランタ)
 ヤンキースの田中将大投手(26)が28日(日本時間29日)、ブレーブス戦に先発し、打線の大量援護にも恵まれ、7回5安打3失点で10勝目を挙げた。デビューから2年連続の2桁勝利は、日本投手では野茂、松坂、ダルビッシュに次いで4人目。この日はDH制がなく、立ち上がりは慣れない打席への準備が投球に影響したが、投球フォームを気にしないという発想の転換で見事に修正した。

 不思議な感覚だった。3回まで54球を要し、4安打3失点から立て直した10勝目。田中は自分でも信じられないといった顔で修正策を説明した。

 「まあ、むちゃくちゃに投げました。語弊がありますけど、練習でもしたことがないようなフォームで投げたら、狙ったところに行き始めた」

 立ち上がりは不安定だった。「序盤、打席がいっぱい回ってきたので、凄くバタバタした」。今季2度目のDH制のない試合は初回に打線が5点を挙げ、ネクストバッターズサークルで攻撃が終了。2回も打者一巡の猛攻で、プロ初の1イニング2打席を経験した。これにより、投球のリズムとフォームを乱した。右腕が横振りになり、左打者の外角狙いの直球は内角に流れた。初回は3安打1四球などで2失点。3回、フリーマンに浴びた中越えソロも外角を狙った直球が内角低めに入った。

 その解決策が「むちゃくちゃ」だった。「今年は試合中も自分の中での理想ばかりに(意識が)いっていた。今日は(捕手が)構えているところに投げるにはどうすればいいかというのを突き詰めた」。すると、序盤は横振りだった右腕が縦振りになり、左右の制球の乱れが解消。フォームからではなく、ボールそのものの質を修正することでフォームを直すという逆転の発想に至った。

 昨年の右肘じん帯部分断裂から不安視された今季。春先から負担の少ないフォームを意識して試行錯誤を重ねてきた。この試合は最終100球目に最速95マイル(約153キロ)をマークするなど球速も徐々に上昇し、これで5試合連続クオリティースタート(6回以上、自責点3以下)となった。

 日本人4人目のメジャーデビューから2年連続2桁勝利。「先輩たちに続けたことは良かった。でもまだ内容はその先輩たちに遠く及ばない」。田中は謙遜ではなく本心からそう言った。(春川 英樹)

続きを表示

この記事のフォト

2015年8月30日のニュース