藤浪 甲子園の完封男や!4冠エース、山田封じ11勝目

[ 2015年8月29日 05:30 ]

<神・ヤ>初回2死、山田(手前)を抑える藤浪

セ・リーグ 阪神9-0ヤクルト

(8月28日 甲子園)
 阪神・藤浪晋太郎投手(21)が28日のヤクルト戦で今季3度目の完封勝利をマーク。3年目で自己最多、今季リーグ最多に並ぶ11勝目を挙げた。これで勝率、奪三振、完封数と合わせてリーグ4冠。打撃部門トップを独占する強力打線を散発3安打に封じ、長期ロード明け初戦でチームの連敗を2で止めた。2位・ヤクルトとは再び3ゲーム 差。シーズンが大詰めを迎える中、藤浪が凄みを増してきた。

 最後は狙っていた。9回2死、9―0と大量リードし、完封まであと1人。視線の先には3冠王を狙う山田がいた。

 「余裕があったので、力試ししました。相手が真っすぐを狙ってくる中で、三振が取れるか」

 真っすぐ1本で勝負を挑む。153キロ、153キロ、155キロで追い込み、最後は154キロで遊ゴロ。この試合9個目の三振は奪えなかったが、散発3安打で三塁も踏ませない内容は圧巻だった。

 チームは長期ロードを終え、8月2日以来の甲子園。「内容はともかく、絶対に勝ってやるという気持ちでマウンドに上がった」。中7日。通常より間隔を1日空け、あえて2位ヤクルト相手に向かう意味を21歳右腕は分かっていた。立ち上がりから腕を振り、最速は157キロを計測した。目下、打率トップの川端、本塁打トップの山田、打点トップの畠山の強力2、3、4番に対しては、計11打数1安打。特に山田に対した4打席で投じた11球の直球は全て150キロを超え、2三振、1併殺打と完勝した。

 藤浪は直球について「しっかりと上から叩けた」と独特の表現を使った。この日の8奪三振で今季172奪三振は早くも昨季に並んだ。「コースと高さを三振を取るべき場面で間違えずに投げられているからだと思う」。172個のうち、50%以上が直球で奪ったもの。スピンの利いた縦回転の速球が、今季の飛躍につながっている。

 自己最多タイの11勝は大野(中日)に並ぶリーグトップで、奪三振、勝率・647と投手3冠に立った。本拠地ではプロ通算16勝3敗。3完封は全て甲子園だ。「何ででしょうね。自分でもよく分かりませんが、いつも気持ち良く投げさせてもらっている」。大阪桐蔭時代の春夏連覇から、甲子園は常に藤浪を後押ししている。

 「(前カードの)広島戦でいい流れではなかったので、断ち切りたかった」。エースとしてチームの連敗を2で止める124球。和田監督も「きょうのゲームは晋太郎に尽きる。絶対に先に点を取られないという、気迫に満ちあふれた投球だった」と称えた。

 首位堅持へはこれからも厳しい戦いが続く。「プレッシャーは嫌いじゃない。しびれる場面で勝ってこそ。もっと大事な試合でも、こういう投球ができるようにしたい」
 残り27試合。藤浪をさらに奮い立たせるマウンドが待っている。

 ≪M灯最短9・2≫阪神はヤクルト戦に勝利し、優勝マジック点灯の条件となっている広島が負けたため、最短点灯は変わらず9月2日のまま。この間の4試合を阪神が全勝、広島が全敗。巨人が1敗か1分けすればM18~16が出る。

 ≪9年ぶり≫藤浪がヤクルト打線を3安打に抑え、今季3度目の完封で大野(中)に並ぶリーグトップタイ11勝目。阪神ではメッセンジャーが13、14年にシーズン3完封を記録しているが、日本人では06年に井川が3完封して以来9年ぶり。3完封は全て甲子園で、本拠では今季5勝1敗、防御率1.82(他球場は同3.36)と強い。この日の8奪三振で、昨季に並ぶ自己最多タイのシーズン172奪三振。2位のメッセンジャー(149)を大きく引き離している。

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