マエケン6年連続10勝 ミラクル逆転Vへ虎戦あと3試合登板へ

[ 2015年8月28日 05:30 ]

<広・神>5回1死一、二塁、岩田を併殺に打ち取った前田健は雄叫びを上げグラブを叩く

セ・リーグ 広島2-0阪神

(8月27日 マツダ)
 回を追うごとに投球に凄みが増していく。スコアは1―0。球数が100を超えた8回、広島・前田健のギアがさらに1段上がった。「力でいこうかなというのはあった。気持ちがノッてきて、体もいい形だった」。集中力を高め、他者が及ばない領域に入った。

 先頭の梅野を149キロ、続く上本はこの日最速151キロと、ともにど真ん中の直球で空振り三振に仕留めた。2死から四球を出したが、最後は狩野を宝刀スライダーで左飛。アウトを重ねるたび、広島ファンが頭につける「赤い耳」が観客席で揺れた。阪神グッズの「虎の耳」をカープカラーに染めたおきて破りの応援グッズ「赤耳タイガー」の配布デーだった。

 2~6番までを無安打に封じ、打線を完全に分断。球種には21日の巨人戦(マツダ)から4年ぶりに解禁したフォークボールも交えた。「まだ“これ”という感覚がない」というが、勇気を持って使った。「ビビっていたら、何も覚えられないし、成長もない」。投球のバランスを崩すなどのリスクも考えられるが、恐れることなく信念を胸に投じた。

 8回を4安打無失点で7奪三振。今季最多6球団のメジャースカウト陣が見守る中、盤石の投球で10勝目を手にした。6年連続2桁勝利は06~11年の日本ハム・ダルビッシュ(現レンジャーズ)以来。広島では86~91年の川口和久以来、24年ぶり4人目の快挙となったが、エースにとっては単なる通過点だ。

 「10勝は目標じゃないし、そこからの上積みが大事。ただ続けて成績を残すことがこの世界は大事だし、続けてこられたことは良かった」

 首位・阪神に連勝し、4位ながらゲーム差を4・5に詰めた。阪神とは9試合を残し、前田健は3試合の先発が予想される。今カード限定で着用した「常昇魂ユニホーム」に引っかけて「ファンと選手が一体となって、ここから上昇していきましょう!」とお立ち台で絶叫した背番号18。エースが勝ち続けた先に「奇跡」は見える。 (桜井 克也)

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