大震災からの復興祈り…東大寺の大仏様のグラブ作り

[ 2015年8月27日 09:00 ]

縫製した大仏の指にはめる部分のグラブを持つ松井裕と子供たち

 大仏様のグラブ作りに挑戦!23日のソフトバンク戦前、楽天の本拠地・コボスタ宮城で東日本大震災からの復興へ願いを込めた、ある取り組みが行われた。

 奈良・東大寺の大仏(盧舎那仏)がはめることのできる、世界最大のグラブを作る「東大寺大仏グラブ製作プロジェクト」だ。高さ約15メートルの大仏は、右手の大きさが約2・6メートル。その右手に合う巨大なグラブを作るのだ。

 このプロジェクトは奈良県大和郡山市のグラブメーカー「BBAアカデミー」の代表、梅原伸宏さん(50)が中心となって企画した。梅原さんは11年の震災発生直後から、津波などで野球道具を失った被災地の子供たちに中古グラブなどを寄贈する「G―LOVE活動」を行っている。

 活動を続ける中、「震災が風化しないように、ずっと残るモニュメントを作ろう」と大仏グラブの製作を発案。今年3月から作り始めている。8月からは宮城、岩手、福島を回り、被災地の子供たち約3000人も縫製作業に参加。梅原さんは「皆でワクワクしながら作ることで、将来に向けて大きな夢や希望を持って欲しい」と願う。

 全長3・6メートルの大仏グラブは、通常のグラブ128個分に相当する牛16頭分の革を使用。本革でできた世界最大のグラブとして、ギネス登録も目指している。宮城県内のスポーツ少年団の子供たち約30人とともにグラブの薬指、小指の部分を縫った松井裕樹投手(19)は、型紙を見上げながら「大きいですね」と驚きの声を上げるとともに「被災地の球団に所属する選手として今後もこういった活動を続けていきたい」と話した。

 大仏グラブは12月26日に東大寺で奉納式を行った後、来年3月からは被災地で順次、展示する予定。コボスタ宮城にも飾られる。

 東大寺の大仏は745年、聖武天皇の発願で製作が始まった。当時は地震や飢饉に加え、政治的争いもあり社会が混迷を極めていた。そういった不安を取り除き、国の安定や平和を祈り造立されたという。1300年の時を経て、その願いは野球界でもしっかりと息づいている。(徳原 麗奈)

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2015年8月27日のニュース