円陣で“謝罪”福留 メッセ援護打「打たないとかっこ悪い」

[ 2015年8月24日 05:30 ]

<神・D>お立ち台で福留に手を上げてもらうメッセンジャー

セ・リーグ 阪神3-1DeNA

(8月23日 京セラD)
 首位の阪神がDeNAに3連勝。福留孝介外野手(38)が初回に右前へ決勝打となる先制適時打を放つなど2打点と活躍した。これで福留が先制打を放てばチームは6連勝。セ・リーグで60勝一番乗りで、このカードの勝ち越しも決めた。2位の巨人が広島に敗れたためゲーム差は再び2・5に拡大。早ければ28日にも優勝へのマジックナンバーが点灯する。

 勝利に直結する一打を放つその姿こそ、福留が勝負師たるゆえんだ。初回。先頭・鳥谷の四球と大和の犠打で築いた1死二塁の好機を、決して見逃さない。先発のメッセンジャーを援護するべく、極限まで集中力を高め打席に臨んだ。

 「試合前の円陣で、ランディ(メッセンジャー)に“援護できずに申し訳ない”と率先して言ったので、何とか打たないとかっこ悪いと思っていた少しでも楽にさせたいと、野手はみんな思っていたんじゃないかな」

 0ボール2ストライクからの3球目だった。モスコーソが投じた外角低めチェンジアップは見逃せばボールかという1球。やや体勢も崩されたが、ベテランの技術が上回った。うまく拾うと、白球は右前で弾む先制のタイムリー。前日に続く先制打が決勝点となり、福留が先制打を放てば6月24日の広島戦(富山)から6連勝となった。

 背番号8の凄みを表す要素として、ツーナッシングというカウントも加える必要がある。今季はこれで22打数7安打4打点となり、打率は・318。投手有利の状況にあって、驚異的な数字だ。セ・リーグの打率1、2位を争うヤクルトの山田、川端をしても、同カウント別成績は山田が・274で川端が・261。「気にしていない」。試合後は素っ気なかったが、痛めている右手中指もまだ万全でないと思われる中で、やはり役者が違う。

 「僕は何もしていない。ただ、良い四球を取れたと思う」

 5回2死満塁では、冷静にモスコーソの球筋を見極めて押し出し四球を選んだ。先制、そして中押し。先行逃げ切りを是とするチームにとっては理想の展開で、DeNA戦3連勝に導いた。屈辱の巨人戦3連敗を取り返し、首位もキープ。和田監督も賛辞を惜しまない。

 「ヒット(4安打)は少なかったけど効果的なタイムリーもあったし、小刻みに得点できた。押し出しは福留の選球眼。顔で取ったね」

 今季61打点となり、シーズン60打点を超えるのは中日に在籍していた2006年以来9年ぶりとなった。同年は中日がリーグ優勝を果たしており、すこぶる縁起は良いと言える。攻守で奮闘する38歳。優勝請負人という称号が、徐々に現実味を帯びてきた。(森田 尚忠)

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