藤浪 熱投も9回力尽きる…死球、エラー「すべて自分のミス」

[ 2015年8月21日 06:09 ]

<巨・神>9回無死一塁、藤浪は代打・橋本の投前送りバントを捕り損ねる痛恨の失策を犯す
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セ・リーグ 阪神1―2巨人

(8月20日 東京D)
 鬼気迫る熱投だった。「相手がいい投手なので最少失点で…とは常に思っていました」。菅野とは13年8月4日以来の投げ合い。2年前は6回無失点で投げ勝った。その時から遠ざかっている東京ドームでの白星を目指し、藤浪はガムシャラに腕を振った。だが、勝利の女神は振り向かない。最後の最後に力尽きた。

 「マウンドに立った以上、最後まで投げたかった。(9回は)コンディションがどうこうじゃない。死球もエラーも、すべて自分のミス。もったいないと言うか、不本意なところです」

 疲労が無いと言えばうそになる。それでも言い訳は口にしない。息詰まる9回。138球目に指先が狂った。先頭の小林に痛恨の死球。そして手元も狂う。今度は代打の橋本が転がしたバントをまさかのファンブル。立て続けのミスに天を仰ぐ。そして…。続く立岡に右前打を浴び、無死満塁のピンチを招いて無念の降板。サヨナラ負けの瞬間は、ベンチで見届けた。

 「大事な試合だったのは確か。しっかり、勝ちたいと思っていた」

 立ち上がりはフォームが安定しない。2回、イニング間の投球練習でステップしながら投げるなど修正を心がけた。その回に1失点も、尻上がりに調子を上げた。相手打線が3巡目に入った5回の73球目までフォークを封印するなど組み立てにも腐心。その“布石”が勝負どころで生きた。

 6回1死一、二塁では亀井を、解禁したフォークで一ゴロに料理。続く村田を空振り三振に仕留め、切り抜けた。そして絶体絶命の8回1死満塁では、ギアチェンジ。代打の高橋由、村田を2者連続空振り三振に斬り、窮地を脱した。村田の打席で投じた135球目で155キロを計測するなど圧巻の投球で、勝利への執念を見せつけた。それでも、白星は遠かった。

 9回途中2失点で6敗目。東京ドームで自身6連敗。ただ敗れたとはいえ、エースと呼ぶにふさわしい投球だった。球団では04年の井川慶以来となるシーズン8度目の2桁奪三振。この敗戦は必ず次に生きる。巨人にも、菅野にもリベンジしてみせる。「シーズンはまだまだ、あるので」。その視線の先には、頂点しか見えていない。(惟任 貴信)

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