“甲子園最速”守備の達人は2年生 新チームも楽しみな早実

[ 2015年8月20日 12:38 ]

2回戦の広島新庄戦の2回、タッチを交わし笑顔でベンチに戻る早実の金子(左)と清宮

 おそらく、今年の甲子園で「最速」だった。怪物ルーキー・清宮が注目を集めた早実で遊撃手のレギュラーを張った金子銀佑内野手は、スタメン唯一の2年生だった。「小さい頃から守備が好きだった。捕ってからいかに素早く投げるかを考えてやっていました」と、守備に自信を持って聖地にやってきた。

 とにかく、捕ってからが速かった。無駄な動きがないから、普通の遊ゴロでは、打者は一塁ベースのはるか手前で審判のアウトの宣告を聞く。足の運び方は中学時代にヤクルト・水谷コーチから野球教室で教えを受け、磨きをかけてきたという。「甲子園ではアウトを取る度に歓声があるので、やっていて楽しい」と何度も観客を沸かせた。

 宿泊したホテルでは清宮と同部屋だった。「自分は試合に入る時のメンタルの持っていき方がうまくない。清宮はいつも緊張していないので、あいつを見て落ち着ける部分もあった」と1学年下の後輩を見習っていた。

 ある日、清宮に尋ねたことがある。

 「緊張することはないの?」

 返ってきた言葉はこうだった。

 「しないっすね。だって、楽しいじゃないですか」

 打順は5番だった。清宮、加藤の「KK」コンビが注目されたが、自身のイニシャルも「K」。いい場面でタイムリーを放つなど打撃でもチームに貢献し、清宮は報道陣に「トリプルK」と金子先輩をリスペクトする発言もしていた。

 準決勝の仙台育英戦では1安打を放ったが、チームは敗れた。それでも6度の遊ゴロを軽快にさばく姿は印象的だった。新チームでは清宮とともに甲子園経験者として中心選手になる。強力打線が注目を集めた早実に、守備の達人がいた。秋の大会の見どころが、一つ増えた。 (川島 毅洋)

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2015年8月20日のニュース