東北に被災地に初大旗を 仙台育英ナインに震災当時の恩師がエール

[ 2015年8月20日 06:22 ]

早実との準決勝の4回、右中間へ3ランを放ち、ガッツポーズする平沢

第97回全国高校野球選手権大会準決勝 仙台育英7-0早実

(8月19日 甲子園)
 全国高校野球選手権の準決勝で仙台育英(宮城)が勝利し、優勝に王手をかけた。同校は2011年3月11日の東日本大震災で被災。不自由な環境で野球を続けた選手たちもおり、当時の指導者からは「元気をもらった」などの声。被災地に“悲願の大旗”を持ち帰ることを期待した。

 2試合連続本塁打となる3ランを放った、平沢大河内野手(3年)が中学時代に所属していた「七ケ浜リトルシニア」の星伸一総監督(54)は、スポニチ本紙の取材に「きょうはチームの子供たちと皆で応援しました。勝って良かったです」と決勝進出に声を弾ませた。

 チームのある宮城県七ケ浜町は、震災の津波で町の約40%が浸水した。家が流された選手もおり、星監督は「もうチームは続けられないかもしれない」と落ち込んでいた。しかし、震災から1カ月後、当時中学2年生で隣接する多賀城市出身の平沢や他の選手の保護者が「子供たちは野球を続けたい。ぜひとも練習を再開してほしい」と、星監督の元を訪れた。

 子供たちの思いを受け、練習場を探し再開。平沢を中心としたチームはその年、東北大会で準優勝し、全国大会に出場した。

 星監督は平沢について「最初に見たとき驚いたのは、手のひら。暇があればバットを振り、マメを通り越してタコになっていた。あの手は中学生ではいない」と振り返った。

 星監督は、1978年に仙台育英が夏の甲子園で初勝利を挙げ、16強に進出した時の捕手。37年の時を経て、教え子が大旗を持ち帰るチャンスを得た。「私の果たせなかった夢をかなえて、ぜひ平沢に優勝旗を持って帰ってきてほしい。子供たちも楽しみにしているし、被災した人も元気をもらえます」と期待を寄せた。

続きを表示

2015年8月20日のニュース