ハム新垣 緊急招集プロ1勝 メンドーサ先発回避で代役

[ 2015年8月20日 05:30 ]

<ロ・日>プロ初勝利の新垣(左)は市川から笑顔でウイニングボールを受け取る

パ・リーグ 日本ハム7-2ロッテ

(8月19日 QVC)
 ポケットに忍ばせたウイニングボールを手に取り、日本ハム・新垣は少年のようにはにかんだ。

 「両親にプレゼントしたい。きょうが1勝目。ここからプロ野球選手として頑張っていきたい」。急性へんとう炎で先発を回避したメンドーサの代役として、この日出場選手登録されて緊急先発。5回2失点で挙げたプロ初勝利は、まさにドタバタの末につかんだ。

 「いきなりかと思ったけど、チャンスだとも思った」。この日、午後1時開始のイースタン・リーグ、ロッテ戦(ロッテ浦和)で先発予定だったが、午前10時30分に始まったウオーミングアップでストレッチをしている時に1軍での先発を伝えられた。千葉県市川市の自宅から浦和まで自家用車で来ていたが、一度自宅に戻って食事を済ませ、QVCマリンに急いで向かった。相手は同じロッテ。最速141キロの直球にフォークがさえた。2―1の5回に井口に同点ソロを浴びたが、降板直後の6回に打線が勝ち越し。運も重なった。

 大谷と同期で東芝からドラフト5位で入団した3年目の29歳右腕。前日の同カードで完封勝利を挙げた21歳右腕から、試合前にアドバイスを受けた。ある打者には横の変化が有効など、一人一人の打者に対しての傾向と対策だった。ところが、新垣は途中で気付き、笑い飛ばした。「大谷の球じゃ参考になんないよ」。160キロの剛球は持っていない。ただ大谷の心遣いがうれしくて、リラックスできた。

 今季初登板初先発した前回7月30日のオリックス戦(わかさ京都)では4回途中3失点でKO。それだけに「もう一回投げさせてくれたことに感謝したい」と言い、栗山監督は「(緊急先発した)状況をプラスに変えてくれた」と称えた。代役先発のプロ初勝利は昨年5月の中日・浜田達以来3人目。3連勝で今季最多の貯金17と勢いに乗せたのは意外な男だった。 (柳原 直之)

 ◆新垣 勇人(あらかき・はやと)1985年(昭60)10月21日、神奈川県生まれの29歳。国士舘高3年時にセンバツに出場したが、初戦(対愛工大名電)で敗退。横浜商大を経て社会人の東芝に進み、12年の都市対抗では全試合に登板し、8強に貢献。趣味は英会話。尊敬する投手は元ソフトバンクの斉藤和巳氏。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。

 ≪「プロ初」は3人目≫新垣(日)が予告先発だったメンドーサの代役で先発しプロ初勝利。予告先発に代わる先発で勝利を挙げるのは、6月19日ロッテ戦の戸村(楽)以来9人目。日本ハムでは89年6月25日西武戦の柴田以来26年ぶり2人目だ。また、代役先発でプロ初勝利は、94年ハートリー(ロ)、昨年浜田(中)に次ぎ3人目となった。

続きを表示

この記事のフォト

2015年8月20日のニュース