清原を本気にさせた先輩の“カツ” 清宮は敗戦をどう感じたか

[ 2015年8月20日 11:00 ]

<早実・仙台育英>仙台育英に敗れ、目を真っ赤にし涙ながらに甲子園を去る早実・清宮

第97回全国高校野球選手権第13日・準決勝 早実0―7仙台育英

(8月19日 甲子園)
 私はひそかに願っていた。早実の1年生・清宮幸太郎が1試合でもいいから完璧に抑えられる姿を。しかしそうはならなかった。最後の試合となったこの日も、仙台育英の佐藤世那に内野安打1本、併殺打に二飛と3打数1安打。清宮にしては不満の残る結果、チームも完敗。赤いタオルで目頭を押さえた。でも完璧に抑えられはしなかった。

 1年生で2試合連続本塁打、打点は8。文句のつけようのない成績。怪物というより怪童という名前がぴったりくる風貌。今後、どれだけ成長するか底を見せない。だから思うのだ。PL学園の1年生・清原和博が池田の水野雄仁に4三振を喫したように「もっと練習して甲子園に来いよ」という先輩のカツを。3年春には、同学年の伊野商・渡辺智男に3三振。「あんなにバッターボックスからベンチが遠いとは。惨めやった」という経験を。それからの清原は、当時の部員が「近寄りがたい雰囲気があった」というほど、練習後にPL室内で夜中までバットを振り続けた。

 清宮がこの日の敗戦をどう感じてくれたか。悔しさが、成長への爆発的なエネルギーに変わってくれることを祈る。もちろん甲子園の良さは十二分に体感したろう。「決勝に行ったら景色が違う」とも話していた。あと4回、出場の可能性が残る。次に聖地へ現れるときは、さらに大きくなってほしい。清原がつくったアンタッチャブルレコード、甲子園13本塁打を破れるのは清宮しかいないのだから。(落合紳哉特別編集委員)

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