ランディ氏の前で快投!大谷 自己最多12勝 完封で沢村級5冠

[ 2015年8月19日 07:04 ]

<ロ・日>8回2死一、二塁、清田を三振に仕留めガッツポーズする大谷

パ・リーグ 日本ハム6-0ロッテ

(8月18日 QVC)
 日本ハム・大谷翔平投手(21)が2度の足踏みを経て、三度目の正直で自己新の12勝目を挙げた。18日のロッテ戦で6安打12奪三振、今季3度目の完封勝利。大リーグ通算303勝を誇ったダイヤモンドバックスのランディ・ジョンソン球団社長補佐(51)が観戦する前で、最速159キロの速球などを駆使して相手打線を圧倒した。勝利、防御率、奪三振、勝率、完封数の5部門でリーグ単独トップに立った。

 155キロをズバッと決めた。井口を空振りさせて12個目の三振。9回を投げきってもまるで息を切らさず、大谷は12勝目の勝ち名乗りを受けた。昨年の自分を超える数字を、また一つつくった。

 「これまで積み上げてきた勝ちをなくして、きょうが1勝目のつもりでいきたい。気持ちをリセットしていった」

 今季自身初めて2連敗していた中、臨んだ一戦。厚沢投手コーチが今季初めてコンビを組む市川に「カーブを多めに使ってくれ」と指示を出した。初回。先頭の荻野を114キロのカーブで見逃し三振に取った。

 「カーブが良い時は投球フォームが良いからね。あの三振できょうはいけるという僕なりの確信があった」と同コーチ。軸足にしっかり体重を残し、縦回転で体を使うことで、スピンの利いた自慢の直球と変化球がさえ渡った。4回2死では主砲・デスパイネからこの日最速の159キロで見逃し三振を奪い「自分の中でベストの真っすぐでないと抑えられない打者。納得のいく直球だった」と珍しく自画自賛した。

 チームの勝利のために1イニングでも多く投げたい――。エースとしてシーズンを乗り切るために、大谷はイニング間の投球練習で工夫を凝らしている。しっかりと投げ込む投手が多い中、大谷は「あまり思い切り投げると疲れるので」とスローボールを徹底する。この日もロッテ先発のイ・デウンが130キロ台中盤の球で肩慣らしをする中、大谷は初回以外は90~120キロ台の球で調整。そのかいあってか、9回を迎えても球威は衰えることなく、力でねじ伏せた。

 ダ軍のランディ・ジョンソン球団社長補佐がバックネット裏で視察。対面はかなわなかったが、試合前のロッカールームでは話題になっていたという。「長身だけど左投げでスリークオーター気味。(自分と)タイプは違うけど自分の中で偉大な投手」。自分より15センチも高い2メートル8センチのレジェンドに目を輝かせた。海の向こうでも投打二刀流の活躍は話題。名を知って訪れたメジャー303勝男に、「大谷翔平」を強烈に見せつけた。

 栗山監督は「まだまだやることはいっぱいある。きょうも心配で心配でしようがなかった」と言い、大谷も「僕が良かったというより、打線が打ってくれた」と謙虚な姿勢は変わらない。3年目の進化を止めるつもりはない。(柳原 直之)

 ≪78年ぶりなるか≫大谷(日)が12奪三振完封で12勝目。昨季の11勝を上回る自身のシーズン最多勝利で、3完封も昨季の2度を上回った。また、2桁奪三振完封は6月24日のロッテ戦(11奪三振)に次ぎプロ2度目だ。これで、防御率2.11、3完封、12勝、勝率.800、151奪三振となり、いずれもパ1位。過去、この5部門でリーグ1位は
年度  投手名 (所属)  年
37春沢村 栄治 (巨) 20
38秋スタルヒン (巨) 22
43 藤本 英雄 (巨) 25
54 杉下  茂 (中) 29
59 杉浦  忠 (南海)24
81 江川  卓 (巨) 26
06 斉藤 和巳 (ソ) 29
 と7人だけ。今季21歳の大谷(日)が5冠獲得となれば、同年齢以下では37年春の沢村(20歳)以来78年ぶりとなるがどうか。

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