記録係からレギュラーに 指揮官も絶賛「根性が半端ないよ」

[ 2015年8月18日 10:00 ]

<早実・九州国際大付>7回2死三塁、中前適時打の九州国際大付・宇都(左)は一塁手の清宮と並ぶ

第97回全国高校野球選手権第12日・準々決勝 九州国際大付1―8早実

(8月17日 甲子園)
 野球小僧に会うとうれしい。同じ一塁手の早実・清宮幸太郎より18センチも身長が低い九州国際大付の宇都颯(はやた)だ。一方的にやられた試合で、7回に一矢を報いる中前適時打。まさに根性の一打だった。

 試合のない日に行う練習でのこと。懸命にティー打撃を行う宇都を指して楠城徹監督が「あいつ見てみい。昨年夏まで記録係やで。それが今じゃレギュラー。根性が半端ないよ。送球でもファウルでも、何でも捕りよる」と絶賛。1メートル66の身長は、今大会の一塁手登録では2番目に低い。“豆タンク”のような体で、ナインに声を掛けると雰囲気は一気に明るくなる。

 昨夏前、監督交代の話に「チャンスだ」と自らに言い聞かせた。「だって試合にも出ないし、暇だからスコアつけてたんです」と使ってもらえない日々。楠城監督になると、今まで以上にバットを振った。朝6時起床から1時間、練習終了から2時間半。地道な努力が監督に届いて小さな一塁手が誕生した。

 2回戦の大阪偕星学園戦ではファウルを追い掛けてカメラマン席に飛び込んでキャッチ。「あの時の拍手は一生忘れません」。この日は「やりきりました。楽しかったです」と涙はなかった。そして「清宮は凄い。切れるかと思って見たら、そのままスタンドに入った」と目を丸くした。スコア書きから甲子園ベスト8。豆タンク君は4試合「夢のような舞台」を笑顔で終えた。(落合紳哉特別編集委員)

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