オコエ 9回2死「ヨッシャ~」V2ラン「最後は気持ち」

[ 2015年8月18日 05:30 ]

<興南・関東第一>9回2死二塁、関東第一・オコエは左越えに決勝2ランを放つ。投手・比屋根

第97回全国高校野球選手権第12日・準々決勝 関東第一5―4興南

(8月17日 甲子園)
 鋭い金属音とともに打球は一直線に左翼席へ伸びた。同点で迎えた9回2死二塁。関東第一のオコエは狙っていたという比屋根の内角直球をフルスイングした。打った瞬間「ヨッシャー」と絶叫。いつもは全速力のダイヤモンドを軽やかに駆けた。

 「メンバー外の選手や父母の期待に応えたかった。“ここで終わらせないぞ”という気持ちでした。それまでチームの足を引っ張っていたので、最後は技術というより気持ち。興奮して歓声が聞こえなかったです」

 決勝弾の打席前まで4打数無安打、2三振と精彩を欠いていた。トルネード左腕の内角球、特にチェンジアップに苦戦しながらも最後の打席で高い修正能力を見せた。昨秋の公式戦も内角球に苦しみ、三ゴロが多かったが「朝練から夜練までバットを振った」という冬場の振り込みで課題を克服した。

 2回2死一、三塁の場面では中堅前に飛んできた浅いライナーにダイビングキャッチを試みるも一歩及ばなかった。「いける自信はなかったですが、勝負した」と果敢な姿勢を貫いた。激しい水しぶきとともに、ユニホームの胸元に飛び散った泥は奮闘の証だ。この日は米沢貴光監督の40歳の誕生日で「監督の誕生日に勝てて良かった」と笑った。

 19日の準決勝では今秋ドラフト1位候補・小笠原を擁する東海大相模と対戦する。「どこがきても全力でいくだけ。この結果に満足していません」。1イニング2本の三塁打を放つなど足で魅せた2回戦、3回戦はスーパーキャッチで観衆の度肝を抜いた。そしてこの日生まれた待望の一発。走攻守で全開のオコエがまだまだ聖地で暴れ回る。 (吉仲 博幸)

 ▼関東第一・オコエの母・早苗さん(44)最後までどうなるか分からなかった。みんなの勝ちたいという思いを乗せて、ホームランになったと思います。最後の一打席で打てて良かったです。

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