清宮「ハハハ」負傷も笑い飛ばした!史上初1年生2戦連発

[ 2015年8月18日 05:30 ]

<早実・九州国際大付>左手の親指にテーピングを巻いてプレーを続けた清宮

第97回全国高校野球選手権第12日・準々決勝 早実8―1九州国際大付

(8月17日 甲子園)
 驚異の1年生スラッガーが大会史に新たな一ページを刻んだ。早実(西東京)は準々決勝で九州国際大付(福岡)に8―1と快勝。清宮幸太郎内野手(1年)が4回に弾丸ライナーを右翼席へ運び、全国制覇した2006年以来となる4強入りに貢献した。1年生による2試合連続本塁打は大会史上初の快挙。「和製ベーブ・ルース」の勢いは増すばかりだ。18日の休養日を挟み、19日に決勝進出を懸けて仙台育英(宮城)と対戦する。

 事もなげに快挙を成し遂げた。清宮が4回、創設100年を迎えた大会の歴史に名を刻んだ。先頭で初球の130キロ直球を振り抜くと、打球は右翼ポール際へ伸びた。夏の甲子園史上初の1年生の2戦連続本塁打。3回戦・東海大甲府戦での放物線とは違いライナーで運んだ。「1本目とは違った。(ライナーが)自分の形。きょうはちゃんと打ったという実感が湧きました」。三塁ベースを回る前に手を叩いて会心の一撃を喜んだ。

 手負いで放った一発だった。初回の第1打席で内角攻めに遭い、最後は直球にどん詰まりの投ゴロ。左手親指の付け根を痛めた。「親指をやられちゃった」。打撲のような症状で、素振りするだけで痛んだ。

 我慢しながらプレーを続けたが、4回の守備に就く前に大事を取ってテーピングを施した。2戦連続本塁打は、その裏の攻撃に出た。「力が入らなくて。アドレナリンが出て頑張れました。逆にそれが良かったのかも。ハハハ。打席に入ったら忘れてました」とまるで人ごとのように高笑い。一塁の守備でも左手は痛んだが「そこもアドレナリンです。ハハハ。頑張りました」。7回には逆方向の左中間フェンス直撃の二塁打。アドレナリン全開で2本の長打を左右に放った。

 3回戦までは3戦連続で死球を受け、この日も厳しい内角攻めと相手のマークは試合ごとに厳しくなっている。だが、打席で立つ位置を変えるといった対策は特に立てていない。「変えたら変えただけ崩れる。インコースを打てないわけじゃない」。自分流を貫いての2戦連発だった。

 打撃に強いこだわりがある一方、記録への執着はない。甲子園1号の記念球は宿舎ホテルのベッド脇に無造作に置いてある。同部屋の2年生・金子が気を使い記念撮影しようかと申し出たほどだった。1年生の甲子園2本塁打は83年桑田(PL学園)以来、32年ぶり2人目。今大会最多タイの8打点も桑田に並んだ。清原(同)ら歴代の1年生スラッガーと常に比較される清宮は「比べたらまだまだ。2試合連続で出たけど、記録とかを狙ってるわけじゃない」と無頓着だ。

 早実は、斎藤(日本ハム)を擁して全国制覇した06年以来のベスト4進出。100年前の第1回大会で4強入りした大先輩たちに追いつき、清宮は「肩を並べたからには超えなければ」と力強く言った。頂点まであと2勝。16歳のスラッガーは次に何を見せてくれるのだろうか。 (松井 いつき)

 ▼桑田真澄氏 これだけの注目を集めながら1年生で2本もホームランを打つのは素晴らしいと思います。今回の清宮君の活躍で当時の打撃成績が脚光を浴びるのはありがたいことですが、僕は投手。まだ試合が残っているので、清宮君に僕の成績を超えてもらえればと思います。

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