斎藤隆 引退表明会見「悔しさ」で24年…故郷で幕

[ 2015年8月18日 05:30 ]

引退表明会見を終えた斎藤は球団職員から花束を贈られ、会見場を後にする

 楽天の斎藤隆投手(45)が17日、仙台市内で会見し、今季限りでの現役引退を表明した。今季は4月に2試合登板しただけで自らの引き際を悟り、日米24年間にわたる現役生活に終止符を打った。36歳にしてメジャーに挑戦。13年に出身地の仙台市を本拠地とする楽天で日本球界に復帰し、同年に球団初の日本一に貢献した。先発、抑えで活躍し、日米通算112勝、139セーブを挙げた45歳右腕が生まれ故郷でユニホームを脱ぐこととなった。

 涙はない。会見場の外で降りしきる雨とは対照的に「非常に晴れやかな思い」という言葉通り、斎藤の表情は明るかった。真っすぐ前を見つめ、引退の理由を口にした。

 「1軍でチームの力になれていない現状、そこに至っていないと判断されている自分のパフォーマンス。いろんな意味で引き際というものを、今じゃないかと感じた」

 今季の1軍登板は4月の2試合。太腿裏や古傷のふくらはぎ痛に加え、体力の回復にも時間を要した。2軍で若手選手に交じって練習する中で「彼らのチャンスをつぶしかねない」とユニホームを脱ぐ決断を下した。

 日米24年間にわたった現役生活。斎藤にとって「悔しさ」が長く続ける原動力だった。メジャーに挑戦した06年から常に「引退」の2文字と向き合ってきた。「一度でいいからあのマウンドに上がりたい」と36歳で渡米。そこからメジャーで7年間、13年に地元の楽天で日本球界に復帰して3年。ユニホームを脱ぐことを自問自答しながら辞められなかったのは「打たれたら異常に悔しい思いがこみ上げてきた」からだった。横浜(現DeNA)、楽天で日本一を経験。メジャーでも2度の地区優勝を果たした。だが「勝ったとか優勝したという以上につらかったことをたくさん思い出してしまう。半分以上は悔しさと打たれたことで支えられている」と言った。

 生まれ故郷・仙台でユニホームを脱ぎ「本当に幸せな野球人生を送ることができた」と感謝した45歳。東日本大震災からの復興を目指す東北の人々にとって、引退しても希望の存在に変わりはない。 (徳原 麗奈)

 ◆斎藤 隆(さいとう・たかし)1970年(昭45)2月14日、宮城県生まれの45歳。東北高3年夏の甲子園には一塁手で出場。東北福祉大を経て、91年ドラフト1位で大洋(現DeNA)に入団。96年に最多奪三振のタイトル獲得。98年には13勝を挙げ、38年ぶりの日本一に貢献した。06年にドジャースに移籍し、レッドソックス、ブレーブスなど5球団で7年間プレー。13年に楽天入団。昨季、44歳4カ月でプロ野球史上最年長セーブを記録。1メートル88、90キロ。右投げ左打ち。

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