福留、借り物バットでV弾 右手中指負傷に「軽く」「短い」で対応

[ 2015年8月17日 05:30 ]

<ヤ・神>6回、福留が勝ち越しの17号3ラン

セ・リーグ 阪神6-1ヤクルト

(8月16日 神宮)
 独走や!!阪神は福留孝介外野手(38)が1―1の6回に決勝3ランを放ち、ヤクルトを粉砕。8回には通算300本目の二塁打も放った。夏の長期ロードでは、球団初となる開幕4カード連続の勝ち越しを決めた。2位チームに付けた3・5ゲーム差は、今季の混セで最大となった。

 激痛に耐えながらも「新相棒」でフルスイングした。福留が1―1の6回1死一、三塁で、カウント3ボール1ストライクからの石山が投じた低めスライダーを完璧にとらえた。

 「(チャンスを)つないでくれても最近仕事ができてなかったし、何とかランナーを返したいという気持ちだった。久々に良い感触だった」

 とても手負いとは思えない力強い大飛球は、夜空を舞って右中間スタンドへ飛び込んでいった。6日の広島戦以来、9試合ぶりとなる17号3ラン。「トリ(鳥谷)の本塁打以降は得点できてなかったし、いい場面で最高の結果を出せて良かった」。ベースを一周して三塁ベンチへ戻ると出迎えてくれたナインと次々とハイタッチしていったが、、荒木とだけは抱き合って笑顔を爆発させた。なぜなら、荒木のバットを借りての一発だったからだ。

 「(バットの変更は)状態、体調のこともあって、どれが一番良いかを考えてのこと」

 今季107試合目にして初めてバットを変更していた。11日の中日戦でスイングした際に右手中指を負傷。患部の状態はその後も良化していなかった。この日の練習中には痛みを感じ何度も何度も右手を振るしぐさを見せていた。和田監督からも状態を直接に確認された。荒木のバットを使ったのも、それらの対応策の一つだった。

 自身がふだんから使用しているミズノ社製のバットは長さ86センチ、重さは約920グラム。借りた荒木のは85センチ、約890グラムでヘッド部分も軽い。患部の負担軽減を目的に「軽く」て「短い」ものをぶっつけ本番で使用した。強行出場が続く中でも舞台裏では戦いへ向けた準備を進めていたのだった。

 8回には通算300本目となる適時二塁打でダメを押した。「(数字も)まだ積み重ねられるようにしたい」。マルチ安打は12試合ぶり、猛打賞は7月14日以来だ。

 2位とのゲーム差3・5は今季の混セで最大。また和田阪神でも最大のリードで、4ゲーム差をつけていた08年9月15日以来だ。夏の長期ロードでは、球団初の開幕4カード連続の勝ち越しも決めた。

 「余裕を持って戦える試合は1試合もない。気を引き締めてやりたい。相手は最後に見ればいいんじゃないか」

 18日からの巨人3連戦でも一戦必勝の心構え。さあ、残り36試合。前だけを向いて、最後のゴールテープまで、もうどこにも追いつかれるつもりはない。(山本 浩之)

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