戦力外、厳しい言葉も…巨人・吉川「プロに入れたのは中日のおかげ」

[ 2015年8月15日 08:02 ]

<中・巨>8回2死二、三塁、坂本の左前適時打で生還する吉川

セ・リーグ 巨人7-2中日

(8月14日 ナゴヤD)
 帰ってきた古巣の本拠でヒーローになった。巨人のユニホーム姿で3安打2打点と打線をけん引した吉川は「三塁側(ベンチ)は少し違和感があるかなと思います。バットでは少しは成長した姿を見せることができたかな」と笑った。

 中日戦では初の先発出場。まずは左打席だ。初回1死から左翼線二塁打で阿部の先制打を呼び込み、3―1の4回には2死二、三塁から詰まりながらも三塁頭上を越える2点二塁打。「気持ちで打てたヒットでした」。右打席でも8回に右前打し、今季2度目の猛打賞。昨季は途中から右打ちに専念したが、巨人では再び両打ちに挑戦。両打席で放った3本はいずれも清水打撃コーチと取り組んできた逆方向への打球で「あしたからも自信を持って入れる」と胸を張った。

 昨オフ、22歳の若さで中日を戦力外となった。巨人入団が決まるまでの約2週間。秋季キャンプが行われていたナゴヤ球場で、練習の邪魔にならないように早朝と夕方以降に黙々と汗を流した。チーム関係者から「球団の選手以外は使わないでくれ」と厳しい言葉を浴びせられたこともあったが、「すみません。自分にも野球人生があるので使わせてください」と頭を下げた。昨年までプロ4年間で記録した安打はわずか4安打。どん底からはい上がった背番号68は「プロ野球の世界に入れたことは中日ドラゴンズのおかげなので、感謝しています」と話した。

 吉川を4戦連続で三塁で先発起用した原監督は「本人も感慨深いものがあるのではないでしょうか。見事な活躍。戦いざまが良い風景として映っています」と称えた。吉川は守備では2、9回に一塁へ悪送球し「ナゴヤ球場でもずっと怒られていたところ。自分に足りない部分」と猛省しながら「まだまだ若いので目の前のプレーを必死にやるだけです」。その表情には充実感が浮かんだ。(青木 貴紀)

 ◆吉川 大幾(よしかわ・だいき)1992年(平4)8月21日生まれ、大阪市出身の22歳。PL学園では2年時に春夏連続で甲子園に出場し、同年秋から主将。10年ドラフト2位で中日入団。14年オフに戦力外となり巨人入り。1メートル75、73キロ。右投げ両打ち。

 ≪15年ぶり3度目≫巨人が中日に勝ち、ヤクルトが阪神に敗れたため、巨人は8日以来の単独2位に浮上した。ナゴヤドームでは5月22日から1分けを挟み5連勝。巨人が同球場で5連勝は00年4月4日~6月3日、同年7月28日~9月3日に次ぎ15年ぶり3度目の最多記録になる。なお、中日戦の通算勝利は999勝目。阪神戦(1009勝)に次ぐ1000勝まであと1勝となった。

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