ヤクルト黄金時代再び…古田氏、ノーバン送球に込めた山田への期待

[ 2015年8月12日 14:15 ]

8月5日、ヤクルト―巨人戦の試合前の始球式ならぬ「捕球式」で高津コーチの投げたボールを捕球し二塁へ送球する古田敦也氏

 8月5日のヤクルト―巨人の試合前。懐かしいアナウンスが神宮球場にこだました。

 「5番 キャッチャー 古田」――。

 この日は「レジェンドDAYスペシャル」と銘打たれ、ヤクルトOB・古田敦也氏の野球殿堂入りを記念するイベントが行われた。その中で「捕球式」として、高津投手コーチとのバッテリーを再結成。背番号27のユニホームを身にまとった古田氏が、高津コーチの投じた球を捕球し、二塁手の山田へ送球した。ノーバウンド送球に、ファンからは大きな拍手が降り注がれていた。

 セレモニーが終わると「簡単に“投げてくれ”と言いますけどね。しっかり調整してきましたよ。届いてよかった」と苦笑いしていた古田氏。しっかり調整したのは、高津コーチも同様だ。前日にはブルペンで投げ込み、当日も入念にマウンドから投球練習をしていた。

 高津コーチは言う。「古田さんの考えていることは全部分かる。ツーカーの仲」。それほどまでに、互いに信頼を寄せ合う。黄金時代を支え「どうやったら遊ゴロを打たせられるか、外野まで飛ばされないか。打ち取る方法ばかり考えていた」とマウンド上での秘話を明かす。プライベートでも仲が良く、遠征先ではほぼ毎日食事に出掛け、休みがあればゴルフに行き、オフには自主トレも一緒にしていたという。そんな2人の「再結成」は、高津コーチにとっても「現役時代は組むことが当たり前だったけど、いろいろなことを思い出すキッカケになった」という感慨深い時間となった。

 今でも古巣を常に気に掛ける古田氏。実は、シーズン前には順位予想でヤクルトを1位に挙げていた。「最後まで分からない。どこも凄い決め手があるわけではない」と終盤までの大混戦となる予感を口にした。そんな中で「昨年いい成績を残して本人も自信を持っている。リーグを代表する選手になっているし、本人もそのつもり」と目を細めるのが山田の成長ぶりだ。恩師である野村克也氏の言葉「地位が人をつくる」と引き合いに出し「まさにそうやって成長している。心配ない」と断言した。

 「捕球式」での古田氏から山田への送球は、ヤクルトの中心選手を担う若武者へのメッセージが詰まっているようにも思えた。古田氏が扇の要としてチームの中心に座っていた01年以来の優勝を目指す今年のヤクルトは、最後まで見逃せない戦いが続きそうだ。(町田 利衣)

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