岸 リベンジ131球完投で2勝目「大谷君に勝ってうれしい」

[ 2015年8月12日 05:30 ]

<西・日>完投勝利の岸(右)は田辺監督とハイタッチ

パ・リーグ 西武2―1日本ハム

(8月11日 西武D)
 二刀流に見事なリベンジだ。西武の岸孝之投手(30)が11日、日本ハム戦に先発し1失点で今季初完投勝利。6月26日の同じ日本ハム戦以来46日ぶりの2勝目を挙げた。大谷翔平投手(21)との今季2度目の投げ合い。7月10日の初対決では1安打で完投しながら0―1で敗れていた。今回も息詰まる投手戦を展開し、131球の熱投。2失点で完投した大谷に投げ勝ち、前回の雪辱を果たした。

 最後の打者を二ゴロに仕留めると、マウンド付近でしゃがみ込んだ。大谷へのリベンジを果たした岸は肩で息をしながら報道陣の前に立った。

 「疲れた…。もう疲れました」。呼吸を整えながら「大谷君に勝って、3連戦の頭を取れた。うれしいです」と喜んだ。

 西武プリンスドーム特有の蒸し暑さ。夏場のナイターでも体感で35度を超えていた。30歳の岸は9歳年下の大谷との本拠地での投げ合いで「年を取っている分、(スタミナ面で)若い人の方が有利かも」と懸念していたが、それを振り払うように直球主体で攻めた。4回まで無安打。7回に1点を先制されたが、その裏のメヒアの逆転2ランで「また頑張ろうと気合が入った」と言う。9回2死から中島に直球を7球続け、6球目はこの日最速の149キロ。7球目を左前に運ばれ「疲れがドッと来た」がギアを入れ直し、最後は田中を147キロで打ち取った。

 チームは大谷に無傷の6連勝を許していた。岸も7月10日に札幌ドームで初めて投げ合い、0―1で球団史上初の1安打完投負け。そこから3試合連続完投負けを喫した。チームが12連敗で迎えた前回4日の楽天戦(コボスタ宮城)前には「僕が(連敗を)止めます」と誓った。だが5回4失点で球団ワーストの13連敗。「もう自分は大きいことは言いません」と静かに闘志を燃やしていた。

 昨年6月、右肩違和感で離脱した際、「2軍の選手を悪く言うつもりはないけど、この空気に慣れたらいけないなと思った」ととがった発言をしていた。今季は開幕投手に指名されながら直前で左脇腹炎症。2軍スタートとなり、若手と触れ合う時間が増え、チームを引っ張る自覚が芽生えた。「一緒に2軍でやっていた選手が1軍に呼ばれて、登板するのをテレビで見るのが楽しかったし、緊張した」。惜しみなく助言も送った。9日オリックス戦(京セラドーム)では、ドラフト1位・高橋光がプロ初勝利。「これは光成のつくってくれた流れ。連勝しないといけない立場」と自らを奮い立たせて臨んだ。

 大谷との濃密な2時間22分の投手戦。「相手は凄くいい投球をしていた。完投できてよかった」。敵地での悔しさを本拠地で晴らした。131球にエースの意地を込めた。 (神田 佑)

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