ヤクルト山中 プロ初完投&完封!96球で黒田に投げ勝った

[ 2015年8月12日 05:30 ]

<広・ヤ>完封勝利の山中はウイニングボールを手にガッツポーズ

セ・リーグ ヤクルト5―0広島

(8月11日 マツダ)
 どこまでも欲のない29歳だ。ヤクルト・山中が初めて対決した広島の黒田に投げ勝ち、プロ初完投を完封で飾った。

 「とにかく一人ずつ打ち取って積み重ねた結果」と振り返りつつ「“早く代えてくれ”って思っていました。後ろにいい投手がいるので」と本音を口にして笑いを誘った。早く代えてくれと言われても、わずか96球。球団の右投手では、くしくも同じサブマリンの宮本賢治(現ファームディレクター)が達成した86年以来29年ぶりの100球以内での完封劇だった。

 ストライク先行のテンポの良さが光った。初回1死から丸に右前打されたが、松山を二ゴロ併殺。2回も併殺でピンチの芽をつむと「思い切っていけた」とアウトを積み重ねた。下手投げから浮き上がる球筋に、初対戦した広島打線は体勢を崩される。27個のアウトのうち、フライアウトは実に14個を数えた。三振はわずか2つでも三塁すら踏ませない。打たせて取る投球術の真骨頂を発揮し、高津投手コーチも「彼の投球スタイルは他の人にはまねできない」と賛辞を惜しまなかった。

 開幕から6戦6勝。球団では58年に金田正一が達成した9戦9勝に、また一歩近づいた。同僚からは「カネやん」をもじって「ヤマやん」の愛称を付けられたほどだ。今季完投したのは石川の1度だけで、救援陣の登板過多が深刻だった。「火の国くまもとナイター」と銘打たれた敵地での一戦で、熊本出身の3年目右腕がチームを救った。

 9日中日戦(ナゴヤドーム)後、名古屋市内の焼き肉店に選手、裏方スタッフが集まり、決起集会を開催。普段は登板3日前から外出せず宿舎で食事を済ませる山中も、この日ばかりは同僚と結束を深めた。「チームにとって大事な試合だった。勝てたことが一番大きい」。遅咲きのサブマリンには風格すら漂っている。 (町田 利衣)

 ▼広島・緒方監督(初対戦の山中の前に三塁すら踏めず、今季11度目の零敗)この時期になって対戦どうこうではない。ビデオを見て、自分でイメージをつくり、つかまえられるか。

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