DeNA・山崎康 関係者も驚く「超神対応」の原点は

[ 2015年8月9日 09:00 ]

試合後、ファンと笑顔でタッチを交わすDeNA・山崎康

 7月30日の巨人戦。京セラドームの三塁側に目を向けると、DeNA・山崎康が巨人のユニホームを着た少年に笑顔でサインしていた。「同じプロ野球ファンですから。サインを書く5秒間が、受け取った方は一生の思い出になるかもしれない。子供たちが将来プロ野球選手になった時、僕からサインをもらったことを思い出してファンを大切にしてほしい」。

 練習に支障がない限りサイン、写真撮影に応じる。今年2月の春季キャンプでは新人にもかかわらず、練習後に開く1時間以上の即席サイン会が日常の風景だった。そのサービスぶりは、ファンの間で「神対応」と呼ばれるほどだ。

 球団関係者が「今までこんな選手見たことがない」と驚く儀式がある。本拠地・横浜スタジアムでリリーフカーに乗って移動する際、「ありがとう」と運転手に必ず声を掛けてマウンドへ向かう。守護神の重圧が掛かり、極限まで集中力を高めた中での気遣いはなかなかできるものではない。

 山崎康の都内の実家は居間の壁に穴が開いている。中2の時、フィリピン人の母・ベリアさんとけんかした際にいら立ちを抑えられず、壁を殴った跡だった。「よく覚えています。穴を見てやってしまったと…でも、母が言ったんです。“これを見て忘れないようにしよう”って。あれから9年たった今もそのまま残っています」。

 山崎康が小3の時に両親が離婚。ベリアさんは女手一つで2人の子供を養うため、昼夜問わずに働き続けた。「物心ついた時から自宅で母と食事をした記憶がない」と振り返る。多感な時期に寂しさ、ストレスが爆発したが、ベリアさんはその現実を受け止めて壁を修復しなかった。

 母子が真っ正面から向き合い、強い絆で苦難を乗り越えた家庭環境は人格形成に大きく影響していると思う。山崎康は常に笑顔を絶やさず、周囲への感謝を忘れない。相手の悲しみ、心の傷を理解できる人間は包容力がある。「あいつ、本当に良いやつなんです」と筒香が話していたが、その言葉に重みがあった。

 7日の阪神戦(横浜)で新人歴代2位の28セーブ目をマーク。だが、浮つくことはない。「道からそれかけたこともあった。でもそれなかった。家族のおかげです。“人をだましてはいけない。うそをつかない。感謝の気持ちを持ちなさい”。母に教えてもらった言葉は常に胸の中にある」。心優しき守護神は球団の垣根を越え、ファンから愛される選手になってほしい。(平尾 類)

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