5カ月かかり…上原が松井氏の連絡先ゲットし大喜びしたワケ

[ 2015年8月8日 08:45 ]

<ヤンキース・レッドソックス>試合前、テレビ解説で訪れた松井秀喜氏(左)はレッドソックス・上原浩治と談笑

 心からの笑顔だった。5日のヤンキースタジアム。笑顔の主はレッドソックス・上原。理由は大事そうに手にしていた小さな紙切れにあった。

 NHKの中継でヤンキース―レッドソックス戦のゲスト解説を務めたのが松井秀喜氏。練習中にグラウンドに姿を現し、まずはヤ軍の田中、ロドリゲスらと言葉を交わした。その後、上原が姿を見せ「ご無沙汰しています。連絡行きました?携帯?」とあいさつ。「オレ(番号が)替わっているんだよ。あとで教えるよ」という松井氏の返事に、上原が「後で絶対、教えてくれない。今、教えて下さい!」と言って、新しい連絡先を手にしたのだ。

 このやりとりで思い出した。片道約140マイル(約225キロ)のフロリダ「伝書鳩ドライブ」だ。今春、松井氏は臨時コーチとしてタンパでのヤ軍キャンプに参加。ある日、翌日の上原の取材を控えた記者が松井氏に「何か伝言ある?」と聞くと「“体に気をつけて”って伝えといて」ということだった。翌日、タンパからレ軍のキャンプ地・フォートマイヤーズまで2時間30分超、車を走らせた。無事にメッセージを伝えたが、上原から返答を預かっての帰路になった。

 「しばらく、おるんやったら連絡ちょうだいって言っといて」。

 さて、翌日。タンパで松井氏にその言葉を伝えると「お前が連絡しろって言っといてよ」と。数日後、再びフォートマイヤーズへ。往復約450キロの2セット目。「そんなこと言ってもメール送ったって返事も来ない。そっちから連絡してよ、って言っといて」と上原は口をとがらせた。最後は松井氏の「あ、大丈夫!OK、OK」とあいまいなまま伝書鳩の役目は終了。もちろん取材が目的なので、必要な往復移動。一方で遅々として進展しない2人のやりとりに「あと何往復したら2人は連絡を取るのだろう…」とハンドルを握りながら何度も思った。

 上原40歳、松井氏41歳、わたくし伝書鳩は松井氏と同じ74年生まれ。文明の発達した21世紀の四十路3人による「アナログ通信」は約5カ月かかりニューヨークで一件落着。上原が連絡先をゲットして大喜びした裏には、こんなやりとりがあった。(春川 英樹)

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2015年8月8日のニュース