執念2度追いつくも…静岡・安本主将 大粒の涙 無念の初戦敗退

[ 2015年8月8日 05:30 ]

<静岡・東海大甲府>9回2死一塁、代打・内村が空振り三振に倒れ、静岡ナインの夏が終わる

第97回全国高校野球選手権第2日・1回戦 静岡7―8東海大甲府

(8月7日 甲子園)
 必死の粘り及ばず、静岡高の12年ぶり初戦突破からの「日本一」は夢と消えた。東海大甲府(山梨)との一戦は、2度追いつく執念も実らず7―8の惜敗。7回に1番・鈴木将平中堅手(2年)の二塁内野安打で再び振り出しに戻したが、あと一歩及ばなかった。主将の安本竜二三塁手(3年)を中心に奮闘したナインは8日、静岡に帰郷。9日からエース右腕・村木文哉投手(2年)を新主将に、あらためて「日本一」を目指して始動する。

 誰もが諦めていなかった。奇跡を信じていた。9回2死一塁。優勝候補が初戦で負けるわけにはいかない。だが、代打を託された内村杏輔外野手(3年)のバットがチェンジアップに空を切った瞬間、「日本一」への道が途絶えた。2時間37分の死闘。静高ナインの長くて短い夏が終わった。

 「全国で通用する力は十分出し切ったが、(内村が三振に倒れた瞬間は)“もう終わりなのかな”と。悔しいです」

 主将の安本三塁手から大粒の涙がこぼれた。

 主導権を握らせることなく、むしろ食らいつく自軍のペースだった。1点先行された初回、すぐさま4番・堀内謙伍捕手(3年)の左越え二塁打で同点に。4―7と再びリードされた6回1死二、三塁の好機では3番・内山竣右翼手(3年)の一邪飛で三塁から鈴木将中堅手が判断良く生還。7回には9番・三瓶慎也遊撃手(2年)の中犠飛と続く鈴木将の二塁内野安打で追いついた。

 だが、甘くはなかった。8回無死一塁からバントを処理した安本三塁手が一塁へ悪送球。その後、2番手左腕・村松遼太朗投手(3年)が決勝の中前打を喫した。

 「しっかり捕って投げていれば、最後まで分からなかった」

 後悔を口にしたリーダーに、誰も責める者はいなかった。むしろ、言葉より実行力でけん引し、その上で努力を惜しまない姿に、周りの選手は「安本がいたからここまでこられた」と感謝の言葉を繰り返した。栗林俊輔監督(43)も「安本のチーム」と強調。だからこそ、4回7失点で屈辱の降板をしたエース右腕・村木文哉投手(2年)が、主将の継承者として「今度は自分が中心となって来年春夏、甲子園に戻ってきたい」と涙ながらに誓った。

 今春センバツ8強入りし、確実にレベルアップに成功した姿で聖地へ帰ってきたつもりでも、勝てなかった。あらためて勝負の厳しさを痛感したナイン。安本が「自分が主将をやってきたことを下級生が見てくれて、今後のチームにとって財産になってくれれば本望」と振り絞った。伝統と姿勢を継承し、「日本一」へ再び挑む。 (小澤 秀人)

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2015年8月8日のニュース